「新公会計制度」導入へ/宮古島市
資産や負債の全体像明確に
宮古島市は貸借対照表など新地方公会計制度を取り入れた2011年度財務諸表を作成し、7月下旬に公表する。市の財政状態を民間企業などと同様に資産や負債などを全体像で明らかにする。市ではこれまで以上に財政の透明性を高めるとともに、市民に財政運営をチェックしてもらうことを目指す。市財政課では「公共施設の減価償却費などを計上することで、将来の市の負担を示すことができる」と話し、市の財政を新たな視点や切り口で対応できるとしている。
新公会計制度は、現金主義や単式簿記、単年度主義では把握できなかったコスト情報を補完するもので、自治体の財政状況を総合的、長期的に把握することが目的。現行の会計制度はそのまま残す。
新公会計制度は▽貸借対照表(市の財政状態を資産や負債、純資産により明らかにする)▽行政コスト計算書(行政サービスの提供に係るコスト及び収入を明らかにする)▽資金収支計算書(年度内における資金の収入及び支出を明らかにし、年度末における資金残高を計算する)▽純資産変動計算書(財源の調達源泉及び財源の使途を明らかにする)-の4表を整備し開示するもの。
市財政課の仲宗根均課長は「市の公共施設の価値や建替時期も明確に示すことで、将来の計画が立てやすくなる。この建物は残すべきか、または取り壊すのかの判断基準となる」と話す。
行政コストについても従来までは人件費や物件費は全体で示していたが、新公会計制度の「行政コスト計算書」では教育、福祉、環境衛生、議会など細かく区分して示すことができる。
仲宗根課長は「市の財政状況を長期的な視点に立って判断することができる」と指摘。具体的には、16年度から普通交付税が段階的に削減されることに備え、財政調整基金(貯金)を15年度までには55億円にする計画を挙げ「その目標値を達成する予算の裏付けがさらに高まる」と話している。