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私見公論
2013年5月17日(金)23:19

エコアイランド宮古島の取り組みについて(4)/大金 修一

私見公論69

 

 宮古島では、さまざまな再生可能エネルギーの取り組みが進められている。再生可能エネルギーについては、前回の私見公論でも紹介させていただいたが、現在は再生可能エネルギーの固定価格買取制度により発電設備に係る導入が加速的に進んでおり、その主力は太陽光発電である。太陽光発電は、地域で日照時間や日射量の差はあるものの、ある程度の条件が整えば日本全国のどこでも行えるものである。


 他方、バイオマスについて、利用されるものとしては建設廃材や食品廃棄物、間伐材、家畜糞尿等々があり、その賦存は全国各地にあるものの、各地域においては地域から出る廃棄物等を地域の資源として有効に活用し、しかも地域の強みとしてのオリジナリティーのある取り組みとして進められているケースが多い。

 宮古島でも、製糖工場におけるバガスのボイラー燃料としての利用や、泡盛製造会社における酒粕を利用したバイオガス利用、さらには資源リサイクルセンターにおける堆肥化等の取り組みが行われており、利用方策も発電、熱利用、資源化と多岐にわたる。

 バイオマス利用については、行政もエコアイランド宮古島・環境モデル都市施策への位置づけや宮古島市バイオマスタウン構想により、その取り組みを進めているところである。その中でも特筆すべき事業がある。宮古島バイオエタノールプロジェクトである。本事業については、平成16年度に環境省事業として開始され、平成19年度からは内閣府、農林水産省、経済産業省、国土交通省、消防庁を加えた1府5省庁連携事業として、製糖過程で発生する糖蜜を精製してバイオエタノールを製造し、輸送用燃料として活用するとともに、バイオエタノール精製後の蒸留残渣液についても肥料や飼料等として活用することにより農地に還元するという、サトウキビを活用した循環型社会の構築を目指すことを目的として、バイオエタノールの製造設備、E3製造・供給設備等を整備し、E3・E10のバイオ燃料の実証事業として実施された。この事業により、バイオエタノール利用の実証による地球温暖化対策の推進のみならず、実施自治体である当市においてもE3燃料のレンタカー利用による観光振興、蒸留残渣液や残渣酵母の活用による農業振興、さらにはサトウキビを活用した循環型社会の構築を通じたエコアイランド宮古島・環境モデル都市としてのブランド力の向上等、当市の地域の振興に一定以上の成果を上げ、今後は事業化に向けたさらなる飛躍が期待されていたが、実証事業は平成23年度をもって終了した。

 現在は、宮古島市において、平成24年度に国からバイオエタノール製造設備等を譲り受けるとともに、工業用アルコールの製造・販売会社である日本アルコール産業㈱に指定管理を行うことにより、県と連携して国の実証成果を踏まえた実用化に向けた検証事業として、バイオエタノールの高効率製造やより付加価値の高い用途開発等調査、さらには蒸留残渣液の商品開発に係る研究開発等を進めている。

 バイオエタノールの実用化に向けては、その製造コストの低減化や蒸留残渣液の利用体制の構築等、決して低いハードルではないが、宮古島の基幹作物であるサトウキビについては、食糧政策としてのみならず、残渣活用等による地産地消の地域資源としてのポテンシャルを有するものであるところ、その高付加価値化に資する農業振興策、また沖縄産バイオエタノールを活用した事業化による産業振興・雇用創出策、さらには再生可能エネルギーを活用した島作りによるエコアイランド宮古島のブランド力向上を通じた観光振興策に資するものであることから、宮古島の地域の強みとしてのオリジナリティーのある取り組みとして、既存の糖蜜利用とのバランスを図りつつ、将来的には本事業が地域に根付いた社会システムとして進められていくべきである。

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