糸綜絖機を寄贈/開発者の池間方俊さん織物組合に
70年間使用、上布に情熱傾注
宮古島では、初めて宮古上布の糸綜絖(いとそうこう)機を開発し、宮古上布の発展に貢献した宮古上布保持団体員の図柄名人、池間方俊さん(96)=浦添市在=の意思を引き継いで、娘婿夫婦の伊波寛次さん(76)と順子さん(72)=西原町在=が�日、宮古織物事業協同組合(理事長・長濱政治副市長)に糸綜絖機一式を寄贈した。長濱副市長は「世界に一つしかない糸綜絖機なので、大事に保管したい」と感謝の意を表した。
糸綜絖機で作った綜絖は、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)が織られていく時に、経糸を引き上げ、緯糸を通すための透き間をつくる道具。引き上げられた経糸と引き上げられなかった経糸の間に、緯糸を通す作業の繰り返しで織物は作られる。機織機に綜絖を取り付けると、いくつもの糸はつり糸のよう見える。
池間さんの糸綜絖機では宮古上布の7~18ヨミの12種類の綜絖を制作。織り手は12種類の中から選んで、機織機にセットして織っていく。ヨミの数字が高くなるにつれて、糸の本数が多くなり織り技術は難しくなる。
寄贈式で順子さんは「父は20代の時に糸綜絖機を開発し、約70年間使用した。6年前に夫が引き継いだが、老朽化が進んでいる。父は半世紀以上も宮古上布に情熱を傾けており、父の熱い気持ちには感動する。現在、父は老人ホームに入所中。父の強い意志を引き継いで宮古織物事業協同組合に寄贈することを決めた」と述べた。
長濱副市長は「世界に名だたる宮古上布と歩んできた糸綜絖機。池間さんの糸綜絖機を参考に新しい糸綜絖機を造らせてある。しかしまだ操作などが難しいので、伊波さんから教えをいただき、完全な操作をものにしたい」と語った。