平和の大切さ訴え/北中で集会
講師の上里さん、体験談語る
23日の「慰霊の日」を控え、北中学校(亀濱敏郎校長)は17日、平和集会「南静園での戦争体験」を開いた。宮古退所者の会の上里栄さんが講話し、生徒427人に平和の大切さとハンセン病に対する正しい理解と偏見・差別の解消を訴えた。
上里さんは少年の時、夜中父に連れられ、今まで見たことのない施設に入れられた。父が施設から離れていく時、少年が「お父さん」と叫んでも父は振り返ることはなかった。この施設は成長の段階で、国立療養所南静園であることを知った。
1945(昭和20)年3月、入所者は日本軍の命令で追い出され、近くの海岸沿いの壕の中で避難した。
上里さんは「多くの人が食糧不足による栄養失調やマラリア、赤痢で亡くなった。餓死が多かった。終戦を知らずに9月に南静園に戻った時には、少年舎にいた15、16人はいなくなっていた。亡くなったと思った。生きていたのは自分だけであった」と話した。
「その後、退所するようになったが、仕事を探しても頼りになる人はおらず、大変苦労した。世の中には偏見・差別があった。皆さん、家に帰ったら家族などに『ハンセン病って怖くない』と伝えてください。そうすることで偏見・差別は無くなっていく」と強調した。
子どもたちが生命の尊重や個人の尊厳、平和の尊さについて考え、郷土の歴史、沖縄戦の実相を学ぶことで、平和を愛し尊ぶ心をはぐくむとともに、次代の担い手として世界平和に貢献できる人材を育成するのが狙い。