補助金執行停止求める/国が苧麻績み保存会に
国庫事業の不適正経理で/1000万円自主返納、13年度は申請せず
宮古苧麻績み保存会(下地正子会長)が2007年度~11年度の国庫補助事業で不適正経理が確認されたため、12年度の補助金1000万円を執行しないよう文化庁から口頭で指導を受けていたことが28日の同保存会の総会で分かった。下地会長は、補助金返還命令の可能性にも言及。同年度の補助金は自主的に返納したと述べた上で「文化庁から(返還命令の)通達があれば、臨時総会を開き責任問題について話し合いたい」と語った。
不適正経理が確認されたのは、07年度の文化庁ふるさと文化再興事業の補助金など。
同事業の補助金193万8000円で、同保存会は糸車(ヤーマ)と手経木(ティーカシギ)を計51セット作成した際、1セット2万4000円の見積もりを取り直し、1セット3万8000円で申請した。差額の71万4000円で新たに19セットを作らせ、それを販売し会の活動経費に充てようとした。12年6月の同会12年度総会で明るみになった。
総会で同保存会事務局は、今年1月に文化庁から電話で「12年度は補助金に手を付けないように」との連絡があったと報告した。
同会は、補助金返還の可能性もあるとして、すでに国から入金されていた12年度分の補助金1000万円を自主的に返還したほか、13年度の補助金も申請していないという。
下地会長は総会で、補助金の不適正経理の指摘については「会のことを思ってやった。責任の所在については今は言えないが、文化庁から通達が来た場合は臨時総会を開き対応していく」と述べ理解を求めた。
宮古苧麻績み保存会 旧平良市が文化庁国庫補助事業(文化基盤整備事業)により、苧麻糸手績みの伝承者養成事業を実施。同時に、文化庁の無形文化財に関する事業(ふるさと文化再興事業)の一環で、保存会主体による伝承事業が開始された。
その動きの中で、2001年に旧平良市に「平良市苧麻糸手績み技術保存会」、旧城辺町に「友利苧麻緯糸手編み技術保存会」、旧下地町に「下地町苧麻糸手績み保存会」が結成された。
02年にはこの3団体で「宮古島苧麻糸連絡協議会」を結成。03年5月に現在の名称にした。同年7月に「苧麻糸手績み」の技術が選定保存技術に認定された。苧麻の栽培及び苧麻糸手績みの技術等の伝承者養成事業や技術の錬磨、公開、普及に関する事業などを行っている。