宮古島マンゴーのブランド化を目指して(5)/上地 克冶
私見公論 75
前回はブランド化の戦略としての箱の製作までを述べましたが、心配をよそに箱の評判は私たちの予想を上回り、うれしい評価を頂いています。おかげさまで中央卸売市場でもスーパーで並んでも一目瞭然です。ブランド化の仕上げは良い商品を間違いなく良い状態でお客様にお届けして初めて出来上がるものだと思います。今この最後の仕上げが宮古島のウイークポイントになりつつあります。
4年前から夏場の貨物の積み残しが出るようになりました。とりわけマンゴーにとって確実な安定した輸送の確保は死活問題です。昨年は宮古圏域のまれに見る不作で幸いに積み残し等の問題は発生しませんでしたが、今年は心配です。
今年のピーク時のマンゴーの予想輸送量は沖縄県農業改良普及課の推計では1日約25㌧だそうです。県と市役所農政課では一昨年からマンゴーの積み残し対策で船舶輸送を実証検証しています。しかし今現在では那覇行きの船は石垣先行が多く、宮古からだと那覇まで3日掛かります。実証検証の結果では品質に問題ないということでしたが心配です。
宮古島の出荷体系は他の生産地と比較して圧倒的に産地直送、いわゆる宅配便でお客様に直接お届けするケースが半数以上を占めます。クレームが起きた場合の影響は計り知れません。船舶輸送をする前にもっと工夫すべきことは無いでしょうか。今航空貨物での一番のウイークポイントは、貨物の積み下ろしが手積みだということではないでしょうか。
現在宮古に就航している機材は3社ともボーイング737という機種だそうです。残念ながら航空コンテナは積めません。ですから前もって貨物の準備をすることができず、到着して出発までの30分で、お客様の手荷物から航空貨物まで積み降ろししなければならないそうです。6月現在で3社の就航便は那覇で16便、東京1便、石垣があります。航空貨物関係者の話ですと、1便で約2~3㌧の貨物がつめるそうです。ですから那覇と東京便で満載すれば数字上では1日約40㌧の貨物が積める計算になります。ではなぜ積み残しの心配が起きるのでしょうか。
私は幸いにも4年前の積み残しが出た後の反省会議に出席させていただきました。お隣の石垣は約10年前に現在の宮古同様パインの積み残しが問題になったそうです。当時解決策として航空会社は貨物の通い箱を提案し、無事解決したそうです。具体的に説明しますと、那覇から到着しますと、1個1個降ろします。そしてまた1個1個積み込みます。そうすると那覇からの貨物が多いと宮古からは30分という限られた時間の中では定時運行のために貨物スペースは空いていても貨物を積まないで出発する場合もあるそうです。そこで積み込みの効率を良くするために通い箱の登場です。たとえば1㌔のマンゴーを積み込むのも1㌔のマンゴーの箱を10個通い箱に入れて積むのも同じ作業です。この方法で石垣は積み残しを解消したそうです。
宮古島でも2年前から通い箱は導入されていますが、問題があります。マンゴーの場合1㌔の箱でも農園によってサイズが違い十数種類の箱があり、同様に2㌔でも同種類の箱があり通い箱の機能が最大限に発揮されていないのが現状だそうです。われわれ生産者もデザインは各社まちまちでも箱のサイズの統一化を図り通い箱の効率的な利用を考える必要があるのではないでしょうか。まずは箱のサイズが統一されればゆくゆくはデザインの統一化ひいては宮古島のマンゴーのブランド化の大きなステップになると思います。
航空貨物関係者の話によれば、昨年は不作の中スカイマーク社も貨物を運んでいただきました。しかし今年は行政からの要請も無いとの理由で貨物輸送は予定してないそうです。せっかく再就航したスカイマーク社の機材も有効に活用すれば船舶輸送に頼らなくてもこの問題は解決することができるのではないでしょうか。行政の積極的な貨物組み込み要請と支援を切にお願いして終わらせていただきます。