高齢者虐待21件を確認/宮古婦人連合会
宮古島市12年度 防止に向け現状学ぶ
宮古婦人連合会(島尻清子会長)主催の高齢者虐待防止研修会が29日、下地農村環境改善センターで開かれた。市福祉部地域包括支援センター包括係の根間京子係長と豊見山将輝社会福祉士を講師に招き、市の高齢者虐待の現状や高齢者数の推移などを学んだ。
研修会で豊見山氏は、2012年度の状況として、1年間で24件の相談があり、そのうち21件で虐待の事実を確認したこと、相談・通報者としてはケアマネジャーや介護関係者のほか、家族や親族が多いこと、虐待を受けた高齢者の7割が女性で、虐待種別としては心理的虐待が最も多く、次いで身体的虐待、経済的虐待と続くことなどを説明。虐待を受けたと思われる高齢者を見かけた場合には、速やかに地域包括支援センターへ通報するよう呼び掛けた。
実際に宮古島市であった高齢者虐待事例として、酒に酔った夫から長年に渡り暴言、暴力を受けてきた、夫と2人暮らしで要介護度3の70歳代女性を病院に入院させる形で夫から隔離するともに、並行して担当職員らが夫と話し合いをすることで、生活再開後、夫の生活に変化が見られたこと、ただ現在も飲酒を続けていることから訪問支援を継続していることを紹介した。
根間係長は現在の高齢者と介護保険の状況を解説。高齢者の現状としては、全人口に占める75歳以上の高齢者が年々、増加していて、2035年には23%を超える見込みであること、65歳以上の高齢者では単身世帯や夫婦のみ世帯が増えているほか認知症患者も増加していることなどを説明した。
要介護(要支援)認定者数も年々、増加傾向にあり、それに合わせて介護保険料も上昇していると語る根間係長。「介護保険のサービスは必要だが、このまま何もせず使い続けると、要介護者を支えきれなくなる可能性がある」と警鐘を鳴らした上で、50~60歳代のうちから介護の原因となる病気の予防に取り組む必要性を訴えた。
研修会には宮古婦人連合会の会員ら約20人が参加。講師の話に真剣な表情で聞き入っていた。