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行雲流水
2013年7月25日(木)9:00

「故郷への報恩の思い」(行雲流水)

 同一記憶や体験を共有した時人は親しく集い結束するようだ。同窓会に集う先輩後輩が和気あいあいと酒杯を交わしたり同期の友が弁舌滑らかに談笑したりするのは意識の深層に学び舎で共有してきた記憶や体験がもたらす一体感が脈動しているからであろう


▼異郷にあっても同期会を月例化させて親交を深めたり郷友会を結成して意気盛んに絆を強めたりするのも母校やふるさとで共有してきた同一体験が郷愁のよすがとして蘇ってくるからである

▼しかし近年「ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」(石川啄木)の心情すなわち望郷の念を抱かないばかりかあからさまに一線を画する世代も確実に広がりつつあるとの指摘もある

▼潜在意識下で故郷の二文字に寄りそい親交と絆を深めたり強めたりしてきた会組織が後継世代の加入不足で会そのものの存続も危うくなってきたと運営担当者は頭を抱えるがそのことは今日的課題としていずれの組織においても起きているという

▼片や各種会合に率先参加し先を見据えた建設的意見を述べながら交流を深めて地域のよりよき進展に人肌脱いでいる高齢世代者は少なくない。己が今ある所もしくはかつて多感な青少年期を親しく過ごしてきた地域ふるさとへの愛着あればこそである

▼このようにふるさと故郷への報恩の思いを熱く抱く人々は同期会や同窓会や郷友会など集う場に違いはあれ親しく寄りあいしっかりと交流を深めている。世人は言う「真逆の心情はむしろ地元の若年世代にあり」と。(知)

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