八月踊り始まる/国の重要無形民俗文化財
村挙げて祭り楽しむ
【多良間】多良間村で15日、国の重要無形民俗文化財に指定されている八月踊りが3日間の日程で始まった。17日まで。初日は仲筋の土原御願で行われた。プログラムは、出演者全員が顔見せする「総引き」で始まった。色鮮やかな琉装や、よろい、かぶと姿の武士たちは、見る人を古き時代に誘った。
獅子舞や古典の若衆踊り、女踊り、二才踊り、狂言、組踊りなど約30の演目を演じた。クライマックスの組踊りは「忠臣仲宗根豊見親組」と「忠孝婦人村原組」。
舞台の正面上に掲げている扁額には「全員で楽しむ」を意味する「偕楽」と書かれている。
多良間の八月踊りは、人頭税制のころ税の皆納を御嶽の神々に報告した「八月御願」が起源とされ、古くは「皆納祝い」といわれていた。明治の中期ごろまでには、首里由来の組踊りや古典踊りなどが取り入れられ、スケールの大きい祭りに発展したという。八月踊りは1976年、国の重要無形民俗文化財に指定された。
祭りは字長の下に、中老座を設けて運営する。中老座は①経理を担当する幹人(かんじん)座②衣装や髪飾りを着付けする仕度(すたふ)座③若衆踊りと女踊りの端踊(はおどり)座④組踊りをする組座⑤寸劇など担当の狂言(きょうぎん)座⑥獅子舞と棒踊の獅子座⑦二才踊りの笠座⑧三線音楽を担当する地謡(ズーニン)座-の8部門を統括している。
祭りは旧暦の8月8日から3日間開催され、出演者とスタッフは延べで約100人。午前10時30分すぎに始まり、午後9時すぎまで続いた。
よろいやかぶと、太刀、頭の飾りなどの小道具はすべて手作り。以前まで、衣装の染料も地元のフクギを使っていたという。八月踊りは「手作り」が関係者の間で高い評価を受けている。