B型肝炎 高い宮古の陽性率/11年度検査分
全国平均の10倍/宮古福祉保健所 検査呼びかける
「沈黙の臓器」肝臓。宮古では酒の席でも肝臓の数値はよく話題に上がる。そんな宮古島市市民の肝臓に関する気になるデータがある。B型肝炎ウイルスの陽性率で毎年全国平均、県平均を大きく上回る数値が上がっている。その理由について宮古福祉保健所は「なぜ宮古地区の陽性率がこんなに高いのかについて明確な理由はまだ分かっていないが実態として高いのでぜひ、検査を受けてほしい」と呼び掛けた。
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスに感染することで発症するウイルス性肝炎で、血液を介して感染する。
成人の場合は免疫機能が確立しているため、ウイルスに感染しても、多くの場合は不顕性感染で自然に治癒する。一部の人では、急性肝炎を発症し、一過性の感染を経て治癒。どちらの場合も、ウイルスは体から排除されて免疫を獲得する。
しかし、免疫機能が未熟な乳幼児が感染すると、免疫機能がウイルスを異物と認識できないため肝炎を発症しないことがあり、ウイルスが排除されず、ウイルスを体内に保有した状態になり、その状態でウイルスを体内に保有している人をキャリアと呼ぶ。
現在、B型肝炎キャリアの多くは母親からの垂直感染(母子感染)であり、母子感染に対する対策が講じられた1985年以前に生まれた28歳以上の成人は特に注意が必要としている。
県宮古福祉保健部によると、宮古島市の40歳以上でウイルス検査を受けた受診者の陽性率は08~10年度までは5・8~6・1%(受診者数は100~150人程度)。最も受診者数の多かった11年度(235人)は8・1%となった。
最新の12年度は4・9%(受診者数184人)と下がったが5年間を平均しても陽性率は6・3%で例年2%台の県や1%以下の全国平均を大きく上回っている。
キャリアとなっても約9割の人は一般的に、その後、無症候性キャリアのまま生涯を経過する。しかし、約1割が慢性肝炎を発症し、肝硬変、肝がんへと進行する危険性があるとされている。
キャリアの多い宮古地区は酒社会。肝臓に負担を強いている人たちも多い。宮古福祉保健所では「キャリアであれば特に肝臓に優しい生活が求められるので適度な飲酒で肝臓をいたわってほしい」と呼び掛けた。
そのほか、同所では「キャリアと分かった場合は、年に1、2回の定期検査を受けてウイルス量をチェックしてほしい。また、血液感染するので特にカミソリなど血液が付着するようなものを他人と供用しないでほしい」と求めた。
ウイルス検査は13日から始まる特定健診の集団健診会場で有料で実施するほか、宮古福祉保健所内でも無料で実施している。