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行雲流水
2013年8月15日(木)9:00

「終戦記念日」(行雲流水)

 日常会話で、気になる心象風景に出合うことがある。「そうじゃないかな~」が「そうに違いない」になり、いつの間にか「そうに決まっている」となる。推測が偏見に姿を変えて行く。何気ない空気の流れだが、小さな偏見が大きな災いのもとになる


▼「戦争は人の心の中で生まれるものである」-1945年11月に採択されたユネスコ憲章は、この言葉で始まる。「無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義をひろめることで戦争は可能になった」と指摘している

▼同憲章は、ユダヤ人迫害だけを非難しているのではない。黄色人種を差別する「排日移民法」(1924年、大正13年)を制定した米国をも含めて批判しているようだ。また、「教義」を広めたメディアや、それを受け入れた大衆の「こころ」を問題視。結局、世論への迎合が戦争を引き起こした、と言っているように読める

▼無知から偏見へと飛躍する個々人の思考方法を最大の問題にしているように思える。飛躍する前に「人間の尊厳・平等・相互の尊重」という民主主義の原則に思いをはせなさい、と言っているようだ

▼第2次世界大戦後は、イデオロギーの対立(共産主義対自由主義)が激化し、戦争と内乱を引き起こしてきた。幸い、今は終息している。代わって宗派的・民族的な対立感情が表面化し、先祖返りしたようにみえる

▼きょうは、終戦記念日だ。先人たちの遺言ともいえる「ユネスコ憲章」に照らして、世界や近隣諸国や日本の現実を検証し、自分の心を省みることにしたい。(柳)

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