行雲流水
2013年8月20日(火)9:00
「オリバー・ストーン」(行雲流水)
ベトナム戦争の最前線を舞台に、地獄のような戦場と、兵士たちの赤裸々な姿を映画「プラトーン」に描いて、アカデミー賞・作品賞を受賞したオリバー・ストーン氏が、第2次世界大戦から今日までのアメリカの現代史を鋭く問い直すドキュメンタリー作品を発表、アメリカ人の歴史認識を大きく揺さぶっている
▼NHKではBS1「世界のドキュメンタリー」で、「オリバー・ストーンが語るもう一つのアメリカ史」(全10回シリーズ)を放送、好評を博し、再放送も行ってきた。米国人にとっては常識をひっくり返すような内容だろうが、日本人からみると学術的な定説であったり、常識的な認識に近い
▼彼は語る。「広島、長崎への原爆投下は全く不要だった。原爆投下はソ連をけん制するためで、軍事的意義や正当性などない」。「冷戦下、何度も核戦争の危機に陥ったが、冷戦を主導したのはアメリカであった」。「自由世界の擁護者というイメージは幻想、軍と軍需産業は肥大化し、脅威を大げさに宣伝して他国に武器を売りつけたあげく、新たな敵をつくっている」
▼沖縄で彼は発言している。「戦後、日本がずっとアメリカの属国のように従っている姿は非常に残念」。「印象に残っているのは、米国の権力のすさまじさだ」と米軍基地の現状について批判する
▼不条理な状況に置かれた県民の多くは彼の発言に当然共感する
▼彼は語る。「私はアメリカを愛しているから批判もする」。「米国は他国と協調して、より平和で公正な、持続可能な未来を目指すべきである」(空)