伝統途切れさせない/宮国大綱引き
台風影響で規模縮小
上野宮国の伝統行事「大綱引き」が旧盆送り日の21日昼ごろ、規模を縮小して宮国公民館前で行われた。この日の午前中、宮古島は台風12号の暴風域に入っていた。綱引きは東西1勝ずつの引き分けで、大漁と豊作が約束された。規模を縮小して実施するのは十数年ぶりという。
ツナシードゥと呼ばれる同集落の中学2年生以下の子どもたちが大綱の材料になるキャーンを集められず、準備が台風の影響でできなかったため、ツナシードゥの保護者たちはこの日の早朝に会合を持ち、一度は綱引きの中止を決めた。
その後、神事でもあり集落の伝統行事を途切れさせてはいけないと、保護者たちがキャーン(シイノキカズラ)を集め、急きょ東西それぞれ3㍍ほどの綱を編み上げ、実施した。
保護者の一人、宮國武徳さんは「一時は中止を決めたが、伝統行事を途切れさせてはいけないので規模を縮小して実施することにした。台風の影響や路面が滑りやすいことなど、安全面を考えて、昼に実施することにした」と話した。
宮国自治会の渡真利兼自治会長は「実施するか否かは今はツナシードゥの保護者が判断する。神事で集落最大の伝統行事なので、どうしてもやらなければと保護者たちが風雨のなか、キャーンを集めて、形だけでもきちんとやりたいと実施した。今は少子化でツナシードゥの子どもたちが減っている。いずれは自治会主体の行事になるのではないかと思う」と話した。
大綱引きは先祖の霊をにぎやかに送り、この先1年の豊作と、豊漁を祈願する行事で、1995年3月に旧上野村の無形民俗文化財に指定され、現在は宮古島市の無形民俗文化財に指定されている。