認知症 周囲の支え重要
専門家招き公開講座/家族会など主催
認知症をテーマにした市民公開講座(主催・認知症家族会みやこなど)が24日、マティダ市民劇場で開かれた。専門家がさまざまな角度から調査・研究された事例などを紹介。認知症は病気であるという認識を持ち、周囲が支えていくことや、予防のためには食事や運動の生活習慣、人との付き合いなどが重要だと訴えた。
「認知症予防と早期発見」と題し特別講演を行った秋田県立脳血管研究センター神経内科学研究部長の長田乾さんは、まず「全国での認知症高齢者が462万人、予備群も400万人」とする新聞記事を紹介。「いかなる人でも発症の可能性がある」と警鐘を鳴らした。
「同じことを何度も言ったり聞いたりする」「置き忘れやしまい忘れが目立つ」など、日常生活で起きる認知症の症状を紹介。記憶が失われることへの不安や日常生活に支障を来す症状、行動を家族や周囲が寛容に受け止めサポートすることが重要だと呼び掛けた。
認知症予防に対する国内外の調査・研究を示しながら「日常生活の中でもちょっとした工夫でリスクを少なくすることができる」と語る長田さん。
具体的には「歩く時は歩幅を広くし、カレーライスやマグロなどの赤身魚をよく食べること。野菜と果物を多く摂り、卵や乳製品の摂取を控えることも効果がある」と話した。
「薬だけでなく日常の行動で認知症は予防できる」と「習慣の力」を強調。「近所の人たちとの付き合いや親せき、友人との交流が認知症のリスクを低くすることができるとの研究結果がある」と述べた。
「沖縄県の認知症医療」との演題で基調講演した天久台病院精神科医局長の葉室篤さんは「認知症は進行する症状をゆっくりとさせることはできるが、治すことはできない」と指摘。医師の立場から、残っている機能を最大限生かす支援が重要だと説明した。
患者の家族らには「幻覚の場合は、見えないものは見えないとはっきり言うこと。しかし、『気にしておくよ』『今度見られたら呼んで』などと受け止めてあげることも大切」と訴えた。
「感情的になっても何の対策にもならず、むしろ患者を追いつめることになる」と葉室さん。認知症の症状をよく理解し、相手のプライドを傷付けない気配りが最も重要だとした。
認知症家族会、市包括支援センター、宮古地区介護支援専門員連絡会、宮古介護福祉士の会のメンバーらによるパネルディスカッションも行われた。
うむやすみゃあす・ん診療所理事長の竹井太さんが司会を務め、それぞれの立場から認知症介護と地域における支援体制のあり方などについて意見を交わした。