宮古島市公共下水道 加入率は63.7%/増加傾向も県内低水準
市民に早期加入呼びかけ/きょう「下水道の日」
宮古島市の公共下水道加入率(2012年度末)は63・7%で年度ごとに上昇傾向にあることが分かった。これは市内の市街地で行われている区画整理地区整備事業に伴い、新築アパートの建設などが増加し、新築物件を設計する段階で、個人の浄化槽を用いず公共下水道に結節する戸数が増加したことなどが主要因となっている。ただ、公共下水道加入率は県内11市部の中では9番目と低水準のままであり、市では家庭からの排水が環境に及ぼす影響などを考え、市民に対し早期の公共下水道加入を呼び掛けている。きょう10日は、下水道の役割や下水道整備の重要性などについて理解と関心を深めることを目的とした「下水道の日」となっている。
公共下水道の整備は平良西里、下里、東・西仲宗根、荷川取などの人口密集地の地域を対象に1990年から本格的な事業が開始された。市の全体の整備計画面積は839㌶。このうち、認可面積(国の補助が受けられる面積)は415㌶で整備率は35・2%となっている。
認可面積の整備に対する加入率は市町村合併当時の05年度は42・7%だったが▽06年度53・9%▽07年度56・8%▽08年度58・1%-と年々上昇した。09年度に56・9%と低かったが、これは整備エリアが学校周辺で住宅が少なかったことが原因だった。
整備面積が増えていくにしたがって、加入率も伸びていく傾向にあり、市内市街地の区画整理事業に伴って、道路拡張整備などと合わせて公共下水道の整備事業も順調に進められている。
また、最近の新築住宅民間需要が増えたことで、新築物件を建設する際、個人用浄化槽を設置せず、直接、公共下水道に結節する戸数が増加していることなどが加入率増加の主要因となっている。
だが、宮古島市の加入率は県内11市部の中では9番目と相変わらず低い水準にある。市下水道課によれば、下水道管から各戸に引き込む排水管の工事は自己負担となるため、公共下水道までの結節管工事は個人で行う必要があり、平均約20~30万円の工事費が掛かるという。そのため、加入を先送りにする家庭がその原因となっている。
市では加入促進を図るため、05年から30万円を上限に工事資金を無利子で融資する制度を設けたが、利用が促進されていないという状況だ。
一方、公共下水道事業とは別に進められる農村、漁村地域での「排水事業」は加入率が高くなっており、農業集落排水事業では▽比嘉80・8%▽与那覇56・67%▽上地95・34%▽宮島47・37%▽高野82・61%▽川満93%-の6カ所163㌶が整備され、加入率は12年度末で78・82%となっている。池間、久松地区の漁業集落排水事業(整備面積78㌶)は加入率は36・61%となっている。特に地下水保全地区で上水道企業団の助成金を受けた比嘉、高野の加入率は著しく高くなった。
市下水道課の根間秀二調整官は「公共下水道事業の市民周知が進んだ成果として加入率も伸びる傾向にある。ただ、依然として県内では低水準にあることから、環境保全のためにも同事業に対する市民皆さんの理解と協力を求めていきたい」と話した。