行雲流水
2013年10月5日(土)9:00
「ゆり」(行雲流水)
子どものころ、実家がユリを栽培していた。球根を出荷することから、栄養分を回すため、金にならない花は取り除かれた。花にはまったく興味の無かった両親で、作業はというと雑草を除去するかのごとく無造作だった。子どもごころにも「きれいに咲いたのに、もったいないな」と思ったものだ
▼ユリといえば東平安名崎が名所だったが、いつのころからかめっきり数が少なくなった。以前は、辺り一面が花で埋もれ「白の絨毯」との形容が決して大げさでなかった。このため「1、2本ぐらいは」との思いからか、茎ごと摘んでいく観光客らがいて、当時の城辺町役場は「花は自然が一番美しい」との立て看板を設置したことを覚えている
▼ラジオでちらっと聞いたが、沖縄本島北部地域をPRするため、航空機の機体に桜やツバキ、ランなどの花を塗装し、地域振興に役立てるという。それを聞いて、宮古島を花と緑でいっぱいにする構想「花の王国」づくりはどうなったのかなと気になった。植物園のリニューアル事業や宮古の玄関口、宮古空港を花で彩ろうという計画は、あれでもう終わりなのだろうか
▼市民運動実践協グリーン部会が提唱する「道路の里親」制度も市全体を巻き込むまでには至っていない。「トライアスロン期間だけは花が満開」と言われるのは市民の一人としてしゃくだ。花の王国とまではいかなくても、小さな空間に花を咲かそう。幸いにも花で島をいっぱいにしようという意志とノウハウは整っている。一人一人の行動あるのみなのだ。(地)