多良間村で事業化へ/国営かんがい排水事業
早ければ18年度に着工/国、水利用農業など調査
【多良間】多良間島の地下にレンズ状にたまる地下水をくみ上げて農業用水に使う計画を進める沖縄総合事務局土地改良総合事務所は16日、農家を対象に事業説明会を開いた。現在は事業採択を視野に取水可能量や島の水利用農業のあり方などを調査している段階。着工は事業化にめどが付き次第、早ければ2018年度ごろになる。
多良間島の地層を形成する石灰岩には海水が侵入し、地下に浸透した雨水は、その海水の上にレンズ状にたまっているという。
宮古島の農業用地下水は止水壁でせき止めているが、多良間島では自然にたまった水を使えるのが利点。ただ過剰な取水は、バランスを壊して塩水化を招く恐れがあるため、取水は慎重を要する。
淡水レンズは島の中央部に分布し、範囲は半径3~4㌔、レンズの厚さは最大7㍍ほどある。
淡水レンズの水は、地表から下の方向に井戸を掘り、その底部を起点に横穴を数本掘って集水。この地下水をファームポンド(FP)に揚水して、畑に送水す仕組みだ。FPにはため池の水も揚水する。現段階で受益面積は908㌶、受益農家1322人に上っている。
水源開発の基本的考え方は①地表水を可能な限り集水し、ため池に貯留して利用②淡水レンズからの「効率的かつ持続可能な取水」-の組み合わせを示した。
国営かんがい排水事業は宮古地区では、「宮古(第1期)」が2000年に完了し、現在は「宮古伊良部(第2期)」を実施中だ。多良間の採択で、宮古全域に国営事業が導入されることになる。同村ではため池の少ない水で、干ばつをしのいでおり、その解消を最大の課題に挙げている。
かんがいの効果ついては、地下ダムの水を使って栽培した宮古島サトウキビの反収が9・8㌧と平均の1・5倍に増加した事例も報告。宮古島で水利用高収益野菜栽培が盛んになったことも話した。