特定事業計画を諮問/市バリアフリー化
宮古島市バリアフリー基本構想策定協議会(会長・高嶺豊琉球大学教授)が23日、市中央公民館で行われ、下地敏彦市長が同協議会に「市バリアフリー特定事業計画」について諮問した。諮問を受け第1回の協議がスタートしたほか、協議会後には同基本構想策定調整部会も開催され、今年度末の答申に向けた提言や活発な意見交換が行われた。
同市では昨年度末に県内で初めて「市バリアフリー基本構想」を策定。同構想では、重点整備地区内においてバリアフリー化のために実施すべき特定事業、その他の事業に関する基本的な事項を定めている。
この構想を受け、今年度は重点整備地区内(旧平良市中心市街地周辺)における特定事業の具体的な施策および年次計画などの事業計画を策定する。
計画を進めていく上で、有識者からの提言では、高嶺会長とNPO法人バリアフリーネットワーク会議の親川修代表がそれぞれの立場から意見を述べた。
高嶺会長は、日常生活で必ず利用する近所の文房具店や銀行などではバリアフリー化が進んでおらず、入り口に5~10㌢の段差があり、それが車いす利用者にとっては大きな壁になっていることを指摘。
「そこに簡易のスロープがあれば誰かの手を借りずに1人で買い物や用事ができる。スロープ設置のために市が補助を出して、設置数が増えればそれが車いす利用者にとって生活しやすい環境となる」と述べた。
親川代表は、高齢化が進む中で観光地にとっては高齢者が訪れたくなる地域になることが重要。宮古島でバリアフリー化が進み、地域で住むお年寄りが生活しやすい場所になれば、それは必然的に島外の高齢者にとって訪れたい観光地になると訴えた。
さらに、こうした取り組みの情報発信の必要性を訴え「たとえば那覇空港は補助犬用トイレを造った第1号の空港になった。さらに那覇市では耳が聞こえない観光客用に小売店などに筆談ノートを配布したところ、実際には外国人観光客とのやり取りでも活用された。象徴的な場所で自分たちの意思を示すことが大切」と訴えた。
あいさつで下地市長は「県内で初めてバリアフリー基本構想を策定したが問題はこれから。具体的バリアフリー化をどう進めていくかが大切。安心安全で住みよいまちづくりに向けた協議をしてほしい」と呼び掛けた。
今後は、来年1月に2回目の調整部会と協議会を開催し、整備優先順位の検討と個別事業計画について協議。2月には3回目の会合を開き、3月下旬に特定事業計画の答申を予定している。