アフリカシロナヨトウと判明/多良間島で大量発生の害虫
県病害虫防除技術センター宮古駐在は19日までに、多良間島で大量発生し、牧草を食い荒らした虫がアフリカシロナヨトウであることを同定した。多良間村の一斉防除で被害は軽減しているが、同駐在は「村の一斉防除で相当数の幼虫は死んでいるがまだ安心はできない」と指摘。幼虫がサナギ化している可能性を懸念した上で、引き続き注意するよう呼び掛けている。
同駐在が多良間島で捕獲した個体を本土の研究所に送って調査したところ、ガの一種でアフリカシロナヨトウと判明した。成虫の移動距離調査では。9万㌔を飛んだというデータもある。生態調査によると、生涯産卵数は1000個に及び、ふ化は2~5日、幼虫期間は2~3週間で、この幼虫期に牧草地の草を食い荒らす。食害の勢いはすさまじく、同駐在の飼育調査でも常に食べ続けている。
生息はアフリカ大陸やマレー半島、ハワイなどで確認されているほか、日本国内での確認例もある。ただ、多良間島のような大きな被害報告は国内でも初めてとみられる。
村の一斉駆除でここ数日の被害報告はないが、成虫は確認されていることから注意が必要だという。サナギ化していれば再び成虫になって産卵し、幼虫が大量発生する怖れがあるため同駐在で注意を呼び掛けている。
アフリカシロナヨトウは、9月に入って多良間島の牧草地を中心に大きな被害をもたらした。被害の大きいところでは、牧草の葉が食い尽くされて茎だけになっている牧草地もあるという。