米掃海艦が初入港/「親善・友好が目的」
市民団体ら50人が抗議
米海軍佐世保基地(長崎県)に配備されている掃海艦「ディフェンダー」(全長74㍍、1312㌧、乗員80人)が21日午後、平良港に入港した。同港に米軍艦艇が寄港するのは本土復帰後初めてで、沖縄の民間港への寄港は2007年以降3度目。米海軍司令部広報報道部は「日米親善や友好が目的」としている。港には、寄港に反対する市民団体や労組ら約50人が集まり「強行入港反対」と抗議した。寄港は24日まで。
米軍艦艇の民間港への寄港は、日米地位協定で認められているが、県や市は外務省を通じ自粛を求めていた。
平良港前では、寄港に反対する市民団体や労組らのメンバーが集まり「平良港の軍事利用は反対」などと書かれた横断幕を掲げ、抗議の声を上げた。
仲井真弘多知事は、「民間港湾は、民間船舶の運航を目的として設置されたものであり、緊急時以外は米軍の使用は自粛すべき」としたコメントを発表。下地敏彦市長は「戦争の記憶を持っている人たちのことを考えると(入港は)残念だ」と述べた。
同艦のアンドリア・スロウ艦長は「友好親善が目的である」ことを強調。「島の歴史と文化を学ぶことを楽しみにしている」と語った。
集まったマスコミに同艦内部が披露され、担当者から掃海艦の任務や特徴などが説明された。同日夜には、平良のレストランで地元関係者を招いての「夕食会」が開かれた。
同艦の寄港については、市が外務省沖縄事務所などに対し、自粛を求める文書を提出していたが、21日までに「なぜ、寄港を認めないのか」「なぜ自粛の要請をするのか」などといったメールやファクスが全国から百通余り届いたという。同日、下地市長が明らかにした。
ディフェンダー 現在は佐世保に前方配備されているが、2009年5月まではテキサス州インゲルサイドを母港としていた。機雷除去を主な任務とし、04年にはハリケーン・カトリーナが通過した後のミシシッピー川の被害調査を含む支援や偵察任務なども行った。第7艦隊の担当区域における任務の支援のために沖縄や横須賀、屋久島、韓国の鎮海、釜山、済州島などに寄港している。