夢膨らむ天然ガス/城辺保良
無限の可能性に期待/検討委、多面的活用を模索
天然ガスの試掘調査に伴う掘削作業が保良の「城辺ぱり鉱山宮古R-1号井」で行われている。新エネルギーとして注目される天然ガスは、温泉水としての活用や電力への転換、農業での活用も期待できるという。過去の調査で「相当量」の埋蔵が想定されている天然ガス。宮古の新たな産業の目玉として、試掘調査の結果が注目される。
天然ガスの試掘調査は県が主導。事業名は未利用資源・エネルギー活用促進事業で、昨年8月下旬に掘削作業を開始した。
宮古島市のほか、沖縄本島の南城市と那覇市の3カ所で実施しており、全体の事業費として9億9500万円を投じているビッグプロジェクトだ。
宮古島の保良では、最大2500㍍まで掘り下げる。その上で天然ガスの埋蔵量や成分を詳しく調べ、新たな事業の展開に役立てていく。
県商工労働部は「観光モデル都市・宮古島市の産業振興につながるよう連携していく」としており、宮古島市など関係団体と歩調を合わせて多面的な活用を模索していく方針だ。
すでに天然ガス資源有効利活用検討委員会(千住智信委員長)が設置されており、あらゆる角度からガスの活用を模索している。
宮古島市は、冬場の農業や観光をはじめ、城辺の活性化につながる施策の展開を視野に入れる。天然ガスと温泉水を複合的に利用し、積極的に新しい産業の創出につなげたい考えだ。
下地敏彦市長は「天然ガスが出ることで電力を天然ガスに置き換えるという可能性が広がる」と、新エネルギーの利用に大きな期待を込める。「付随して出る温泉水は健康ランドでも活用できるだろう。そういう意味では、新たな産業並びに雇用の確保という面でも期待できる」とし、天然ガスが地域活性化の起爆剤になると見ている。
電力、農業、温泉、健康、観光と多面的な活用が可能な天然ガス。城辺のみならず、宮古地域全体の振興が期待されている。
掘削作業は1月中旬までを予定。同月下旬にかけて温泉水やガスの生産試験が行われる。