臓器提供に意思表示を/需要に比べ供給少なく
県内腎移植の現状など報告/県保健医療福祉事業団主催
「知ることで 明日がつながる 命がある」をテーマに「臓器移植を知るシンポジウム」(主催・県保健医療福祉事業団)が18日、市中央公民館で開催された。同シンポジウムが宮古で開催されるのは初めて。講師は県移植コーディネーターの平川達二さん、中部病院腎臓内科医師の宮里均さん、豊見城中央病院外科医師の大田守仁さんの3人。平川さんは献腎移植を希望する人が多いのに対し、提供数が少ないことを課題に挙げた上で、「臓器提供の意思表示」に協力を呼び掛けた。
平川さんは脳死や心臓が停止した人の腎臓を移植する「献腎移植の県内の現状」を主題に話した。
県内の献腎者と移植者数の推移を見ると、提供者は08年の4件をピークに最近4年間では毎年1件と少ない。移植を受けた人は07年の9人が最も多く、最近は5人前後と横ばいが続く。献腎1件に対し移植者が5人と多いのは、九州からも提供があるからだという。
13年12月現在の県内の献腎移植希望登録者は255人に上った。現状のままだと、全員への移植には55年かかると試算した。
提供者家族の承諾理由には「身体の一部生きていてほしい」などの思いがこもっていた。
一方、大田さんによると親族などから移植を受ける県内の生体腎移植が急に伸びた。01年に2人程度だったものは、12年には30人余と15倍以上に増えた。背景には医療技術の進歩による腎臓提供者の危険性が低下したことなどがあるという。
腎臓移植のメリットとしては①4、5時間もかかる人工透析から開放され、通常の生活に戻れる②寿命が延びる-などを強調した。
宮里さんは内臓が悪かったり、悪性腫瘍や感染症があった場合は献腎移植はできないと指摘。献腎移植はある日突然、提供者が発生し緊急に手術が行われることから、その日のために体調を万全にしておくようにと助言した。
講演に続いて、移植者体験発表と質疑応答が行われた。