衛星システム施設導入へ/旧清掃センター上野工場跡地
一括交付金で撤去後
調査費などの補正予算承認/市議会臨時会
宮古島市は、上野新里にある旧宮古清掃施設組合清掃センター上野工場(焼却炉)を解体撤去し、その跡地に、国が進める人工衛星を使った測位システムである準天頂衛星システム事業の施設を導入させる考えを24日、宮古島市議会(真栄城徳彦議長)臨時会で明らかにした。議会に提案された同工場解体撤去のための事前調査と解体設計委託費1454万円の補正予算案は賛成多数で承認された。
準天頂衛星とは、カーナビゲーションシステムやスマートフォンの位置情報サービスなどで使用されているGPS(グローバル・ポジショニング・システム)衛星の機能を補完、補強するため日本が独自で開発。日本の上空に位置する時間が長くなるよう設計された「準天頂衛星軌道」に人工衛星を投入することで、GPS衛星からの電波が届きにくい山間部やビル陰などをカバーするほか、測位精度を現在の約㍍から一般ユーザーで2㍍、高度機器使用では数㌢にまで高めることが可能になる。同システムの稼働は2018年からを予定している。
市が上野工場の撤去跡地に導入するのは、衛星からの情報を受信する追跡管制局2基で、同施設の設置、運営を行うのは同システムの運用事業を国から受託した準天頂衛星システムサービス。同社はNECなどが設立した特別目的会社で、契約期間は2033年3月まで、事業費総額は1172億円で、システムの開発や整備、維持管理、運用などを行う。追跡管制局は宮古島のほか、恩納村、八重山、久米島の県内4カ所に整備される。
上野工場の解体撤去は一括交付金を活用し、14年12月までに実施予定で、その後、同社が市から跡地を賃借し、15年2月から施設建設に着手する。土地面積は約5000平方㍍で、賃料は現在、調整中。
施設老朽化に伴い2002年11月で稼働が終了した上野工場。その後、解体撤去を求める声が多く上がったものの、費用は約2億円と見込まれ、予算確保が困難なことから手つかずの状態となっていた。
市議会臨時会では、下地敏彦市長が補正予算案の提案理由を説明したほか、長濱政治副市長は準天頂衛星システムの概要をはじめ、今回の設置計画は市が誘致したものではなく企業側から申し入れがあったこと、上野工場はこれまで未定だった跡地利用計画が決定することで一括交付金が活用可能となることなどを答弁した。
生活環境部の平良哲則部長は上野工場解体に向けた事前調査ではダイオキシン類、重金属、アスベスト、ポリ塩化ビフェニル廃棄物(PCB)の4項目について調査を行うこと、調査は2月から着手し、解体設計は3月末までに作成して、新年度から解体撤去工事を行う考えを示した。
議案採決を前にした討論では上里樹氏が工場の撤去には賛成としながらも、導入されるシステムについて軍事利用される可能性を指摘し反対を表明。挙手による採決の結果、野党系議員3人が反対したが賛成多数で可決した。