「再任用」採決に至らず/市議会総務財政委
条例制定に慎重姿勢/3月定例会で判断へ
市議会総務財政委員会(嵩原弘委員長)は14日、継続審査にしていた「市職員の再任用に関する条例案」を審査した。条例制定後に新職員の採用枠や職員定数に影響が出る可能性があるとして慎重な姿勢を示す委員が多く、採決には至らなかった。25日開会予定の市議会3月定例会で再度審査し判断する方針。
同条例案は、定年退職した市職員を再び市の職員として採用する制度で、昨年の市議会12月定例会に、同条例および関連する改正4案が下地敏彦市長から提案された。
集中審査を求められ同委員会に付託されたが、「若者の就職の場がさらに少なくなる」「退職後も公務員が優遇される」などの声を背景に継続審査にした。
再任用された職員がフルタイムの勤務を希望した場合、職員の定数枠に含まれることから定員適正化計画や新規採用枠に影響が出る可能性がある。
市当局は今年定年を迎える職員46人にアンケートした結果、回答を得た27人のうち、11人(フルタイム3人、短期間8人希望)が再び採用されることを希望していることや職員採用試験には過去3年間で400人以上の応募があり、うち20~40人を採用していることを報告した。
これに対し、委員からはアンケートに回答しない19人の今後の動向や、60歳を待たずに勧奨退職した人も一部対象になることを挙げ「再び採用されることを希望する人は今後増える可能性がある」と指摘した。
また、「狭き門」となっている職員採用枠がさらに狭まる可能性や、臨時職員及び嘱託職員にも影響が出ることを懸念し「多くの市民にプラスにならない」とした。
市は同条例案が市議会で否決された場合、現行の地方公務員法で対応するとしているが、同法はフルタイムの勤務のみで「短時間勤務」でないことから、給与など市の財政にも影響を及ぼす公算が大きいと説明した。
委員からは、県内11市や合併した類似自治体の条例の制定状況のほか、「議会が条例案を否決した場合はどうなるのか」などの判断材料が不足しているとし、市当局に資料などの提示を求めた。
同条例案は、公的年金の報酬比例部分の支給開始の年齢が、今年度以降段階的に歳から65歳に引き上げられることに伴い、無収入期間が発生しないようにするためで、雇用と年金の接続を図ることが狙い。
地方公務員の再任用については、2013年3月29日の総務副大臣通知により、再任用を希望する職員について再任用すること、未だ条例を制定していない自治体においては速やかに制定を図るよう求めている。