家、車など獅子で厄払い/城辺比嘉
旧二十日正月祭で豊年祈願
城辺比嘉自治会の「旧二十日正月祭」が旧暦1月20日に当たる19日、比嘉集落で行われた。2頭の獅子がリフォームされた家や車両を購入した人の家を回って厄を払った。地域住民は公民館に集まってクイチャーを踊り、向こう1年の豊作と無病息災を祈願した。
祭りは午後3時に始まった。はじめに自治会の下地修会長が「キビ刈りで忙しい中、このようにたくさんの住民が集まってくれて感謝している。今回は2件の家を回って厄払いをする。祭りを通して自治会の発展を祈願したい」と話した。
続いて2頭の獅子を先頭に、クロツグ(方言名・マーニ)の草の冠を頭に載せた住民が公民館の周囲を3周して厄払いをした。
この後、公民館の前に集まって獅子舞とクイチャーを奉納。住民らは雨の中で声を合わせ、地面を力強く踏みしめながら伝統のクイチャーを踊った。
公民館行事の後は集落内を一回りして比嘉全体の厄を払った。引き続き2013年度に家屋をリフォームした人と軽車両を購入した人の家を訪問し、獅子舞などを披露した。
昨年8月にリフォームを終えた家の主は比嘉出身の篠原雄さん(65)。徳島県内で営んできた和菓子屋を子供たちに任せ、妻の節子さん(67)と2人で新しい生活を始めている。
厄払いを終え「とても感激している。この比嘉の伝統は知っていたが、まさか自分がその対象になるとは思ってもいなかった。厄払いを受けたので、幸せな余生が過ごせる」と喜んだ。
宮古島の自然環境に魅了されて比嘉での生活を決めた節子さんも伝統行事に感激した様子。「本当に素晴らしい。これからも地域に溶け込み、老後を楽しく過ごしたい」と話した。
この後、軽トラックを購入した与那原一夫さんの家でも獅子舞が披露された。
比嘉自治会によると、旧二十日正月祭は1913年に始まったとされる。明治時代、字有地財産を巡って訴訟に発展した士族と平民の争いの解決(和解)が旧暦1月20日だったことから同日を記念日に設定。獅子舞や競馬、角力などが行われるようになったという。