勇壮、優雅織り交ぜ/伝統のマストリャー
上野・野原
国選択無形民俗文化財の「野原のマストリャー」が22日夜、上野の野原公民館前の広場で行われた。中秋の名月の下、男性たちが棒術で迫真の演舞を展開し、女性たちは優雅な舞を披露。旧年中の豊作に感謝し、向こう一年間の五穀豊穣(ほうじょう)を願った。
十五夜の豊年祭行事で、主催は野原部落会(砂川恵俊会長)。マストリャーは約300年の歴史を誇り、宮古の芸能の中では特異な民俗芸能とされる。17~19世紀の人頭税時代、公租に関わる穀物の計量担当者をマストリャー(枡取)と称した。
この日の午前中は、女性たちが大グスクと呼ばれる拝所で祈願した。一方、男性たちは夕方から、それぞれが所属するネ組、サル組、ウマ組、トラ組の役員宅で酒食のもてなしを受けた。
マストリャーの参加者らは午後9時すぎ、広場に集合。月明かりの下、男性たちは、武術の形を踊りにしたような豪快な棒術の演舞を披露。互いに奇声を上げた激しい打ち合い、攻撃のリズムと打ち返しのタイミング、腰を落とした際の身構えなどを演じた。
一方、女性たちは縦列を組んだ。前列がクバ扇を持ち、後列は四つ竹を鳴らし、息の合った舞を繰り広げた。
女性の中では最年少で、初めて参加した砂川由妃さん(24)は「難しい踊りであった。これからは伝統のマストリャーを守り、継承発展させたい。嫁いでも参加したい」と抱負を語った。
砂川会長は「一昨年から若者たちの参加が増えてきてる。伝統の豊年祭を大事に守り、後世へ伝えていきたい」と決意を新たにした。