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行雲流水
2014年3月18日(火)8:55

「ぞうさん」(行雲流水)

 1943年、食糧難と空襲に備えて、動物園の大型動物は殺害するよう命令が下った。上野動物園の3頭の象も餓死させられた。芸をすると、餌をもらえることが習慣になっていた象たちは、最後まで芸をしようと試みながら死んでいったという

▼戦後、日本の子どもたちの希望に応えて、インドのネール首相から1頭の象「インディラ」が贈られてきた。その後、この象は平和の象徴として国民に広く親しまれることになる。童謡「ぞうさん」の作詞者、まど・みちおにも、作曲者の團伊玖磨にも、この象たちへの深い思いがあったと言われている

▼『ぞうさん』。一、ぞうさん/ぞうさん/おはながながいのね/そうよ/かあさんもながいのよ。二、ぞうさん/ぞうさん/だれがすきなの/あのね/かあさんがすきなのよ。象の親子の声には、生命のつながりと親子の愛と、生命の根源的なものにつながる声が聞こえてくる

▼『くまさん』は詠う。はるがきて/めがさめて/くまさんぼんやりかわにきた/みずにうつったいいかおみて/そうだぼくはくまだった/よかったな。そこには、すべての生きるものに対する肯定感、賛歌が感じられる

▼生きものだけでなく、自然のすべての存在に対する温かいまなざしがある。しかも、すべてが宇宙の中心にある。『一番星』。一番星がでた/宇宙の目のように/ああ、宇宙が僕を見ている

▼詩人まど・みちおは2月、104歳で亡くなったが、作詞した歌が今も幼稚園から聞こえてくる。「一年生になったら友達100人できるかな」。

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