前年度比36%増30億円/宮古伊良部農業水利事業所14年度予算
ファームポンド建設に着手/「伊良部送水路」2.4㌔敷設へ
宮古島における十分な農業用水の確保と、伊良部島での水利用農業の実現を目的にした第2期国営地下ダム事業を進める宮古伊良部農業水利事業所(井川範彦所長)の2014年度当初予算は30億円で、前年度当初の22億円と比べて8億円(36%)伸びた。13年度末までに事業費は約109億円を投じ、総事業費523億円ベースの進ちょく率は21%に達した。14年度は伊良部島に地下ダムの水を送る宮古吐水槽(ファームポンド)の建設に着手する。
宮古吐水槽は、標高の高い野原岳に建設する。円筒形で直径は47㍍。貯水量は2万㌧以上になる見込みだ。計画最高水位は106㍍と高い。吐水槽は15年度中に完成させる。
伊良部への送水は、城辺の仲原ダムの水を野原の吐水槽にためて伊良部大橋を経由して、伊良部の牧山ファームポンドに自然流下させる設計。伊良部島へは、17年ごろの試験送水を予定している。事業完了は20年度を目指す。
14年度は仲原地下ダムから宮古吐水槽(野原岳)に水を通す「伊良部送水路」の工事が大きく進む。計画延長約7㌔のうち、2・4㌔を敷設する。
宮古吐水槽と伊良部島を結ぶ伊良部導水路(計画延長16㌔)は、ほぼ完了した。
仲原地下ダムの止水壁は計画延長2350㍍のうち13年度末までに582㍍造った。進ちょく率は25%。14年度は311㍍の建設を予定している。
第2期国営地下ダム事業は2009年4月に着工した。
同事業では仲原ダム(有効貯水量920万㌧)と保良ダム(同160万㌧)を新たに建設。既存の砂川(同680万㌧)と福里(同760万㌧)、皆福(同40万㌧)を合わた総有効貯水量は2560万㌧となり、現在の1・7倍に増える。
2000年に完工した第1期地下ダム事業は、干ばつ期の6~9月に対応できる設計で、関連事業の末端施設整備がこのまま進むと16年には水不足になると予測。第2期ではこの不足分を充足しサトウキビや野菜、果樹ハウス、牧草地などに1年中使える水量を確保する。
受益面積は宮古7805㌶、伊良部1351㌶の計9156㌶となっている。