新伝統工芸館 今週中にも工事終了
継承文化の発信拠点に
事業協同組合、引っ越し準備進める
沖縄振興特別推進交付金(一括交付金)を活用して市が建設を進めていた「宮古島市伝統工芸館」(上野野原)は3日現在、建物の外部、内部の工事をほとんど終了し、外構部分の工事をわずかに残すのみとなった。4月1日付で同館の指定管理者となった宮古織物事業協同組合(理事長・長濱政治副市長)では、新工芸館への引っ越しに向けて、来週中にも移転作業を開始する予定だ。
同組合の上原則子専務理事は「新たな伝統工芸館では苧麻を原料にした手すき和紙の制作も行う。市民の皆さんはもちろんのこと、多くの観光客にも宮古の伝統工芸の魅力を伝えていきたい。開館が待ち遠しい」と声を弾ませた。
同工芸館の建設は全体事業費が2億6915万円。市持ち出し分の約5383万円を除いて残りの額をすべて一括交付金で充当した。
施設の敷地面積は2700平方㍍、建物の延べ床面積は1007平方㍍で、市内に現存する各種施設と比較しても施設規模は大きく、宮古の伝統文化発信拠点施設としては重厚な造りだ。
建物の敷地を取り囲む外構壁は地元産コーラルを使用するなど、国の重要無形伝統文化財指定の「宮古上布」をはじめとする宮古の伝統工芸を紹介し、生産拠点とするにふさわしい構えになっている。
市は「宮古上布」「宮古織」などの伝統織物の保持と工芸品全般の生産促進と販路拡大を図ることを目的に、地元工芸品の生産拠点と観光の両機能を同施設内で図りたい考えだ。
同組合の下里まさみ事務局長によれば、人材育成事業で1年を掛け、苧麻紙作製のできる人材を養成したという。下里事務局長は「新工芸館は市民密着型の事業運営で、地域の高齢者がブー績みに気軽に参加できるなどの交流と継承発展に寄与できるよう工夫していきたい」と話した。