気象庁、津波注意報解除/チリ北部沿岸地震
宮古島地方 津波到達せず
チリ北部沿岸(南緯19・8度、西経70・8度)で起きた地震で気象庁は3日午前3時に、北海道太平洋沿岸、岩手、宮城、福島、茨城県、千葉県九十九里・外房と伊豆諸島、小笠原諸島に津波注意報を発表した。宮古島地方、八重山地方に津波注意報の発表はなかった。気象庁は3日午後6時、これ以上津波が大きくならないと判断したことから、チリ北部沿岸地震で発表した津波注意報を解除した。
宮古島地方では津波に伴う明瞭な海面変動は観測されなかったが、気象庁は今後1日程度は海面が若干変動する可能性があるため、海に入っての作業や潮干狩り、釣りなどに際しては十分留意するよう呼び掛けている。
津波注意報が発表された地域のうち、岩手県の久慈港で3日午後0時22分に、これまでの最大波60㌢を観測した。
予想や観測で発表される「津波の高さ」は、津波が観測された時点の、津波がない場合の潮位(海面)からの高さ。
宮古島地方では1960年5月23日に、南米チリ沖で起きたマグニチュード9・5の地震による津波で、平良港で津波の高さ約1・8㍍を観測し、下地町(当時)で33戸の床上浸水の被害が記録されている(宮古島地方気象台)。
この津波で沖縄県の3人を含み、岩手、宮城県などで約120人の死者が出た(内閣府所管中央防災会議・災害教訓の継承に関する専門調査会報告書)。
海外で発生した地震でも、日本に津波が来る場合がある。チリで発生した地震の場合は20時間以上掛けて到達する。
津波の速さは水深によって伝わる速度が変わり、海が深いほど早く伝わる性質がある。海岸付近の津波の速度は時速36㌔(秒速10㍍)ほどで、津波が見えてから避難を始めても間に合わないことが多い。また、陸地に近づくにつれ、後から来る波が前の波に追いつき、津波の高さは高くなる。
津波は繰り返し来襲するため、気象台は津波注意報、津波警報が発表された場合には、解除されるまで海岸などに近づかないよう呼び掛けている。