行雲流水
2014年4月26日(土)8:55
「戦争賠償」(行雲流水)
19日、商船三井の鉱石運搬船が中国の裁判所に差し押さえられた。商船三井は、日本の三大海運会社の一つで創業は明治にさかのぼる。瀬戸内航路を運航する船問屋を統合して設立された大阪商船が前身である。差し押さえられた船は総㌧数11万9000㌧、全長320㍍。22万㌧の鉱石を運搬できる船だ
▼日本の民間企業の財産を中国政府は、ためらいもなく差し押さえた。1936年に大阪商船が中国企業から借り受けた船が旧日本軍に徴用されて日中戦争で沈没した。その船の賠償請求に応じていないことによる差し押さえ、とのことだ
▼安倍首相は、衆議院総務委員会で「政府としても遺憾だ」と不快感を示したといわれる。戦後、日本は対中政府開発援助(ODA)あるいは円借款として3兆6000億の資金を「事実上の戦争賠償」として中国に財政援助してきた
▼1972年、沖縄の祖国復帰の年でもある、9月29日に田中角栄と周恩来の日中両首相が共同声明に署名した。共同声明には「両国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償を放棄する」ことを宣言すると明記された。にもかかわらず今回の事件である
▼中国共産党政府の近隣諸国に対する理不尽なふるまいはとどまることがない。南沙諸島・西沙諸島の領有権を主張してベトナムやフィリピンを威嚇し、世界屈指の国際河川メコン川の上流に幾つもダムを作って下流の国々に迷惑をかけ、ウイグルやチベットの少数民族の自由を抑圧することも当たり前の大国だ
▼商船三井は、24日に約40億円を和解金として支払ったとメディアは伝えている。中国共産党政府が次にもくろんでいるのは何であろうか。