風と波の影響で乗り上げ/伊良部沖座礁タンカー
国交省が事故報告書発表
昨年1月14日午前0時ごろ、シンガポールの会社が所有する小型タンカー「TJ88」(99㌧・ウランバートル船籍)が伊良部白鳥﨑沖で座礁し、機関長の男性(当時60)が死亡、ソー・パイン船長(当時46)が行方不明になった事故で、国土交通省運輸安全委員会は25日、「風と波の影響で浅瀬に乗り上げた」などとした事故調査報告書を発表した。
報告書によると、船長は離礁を試みたが無理と判断し、海上保安庁に救助を求めた。船長は乗組員に退船方法を指示せず、救命胴衣を着用してロープを使って最初に海に入った。乗組員5人はその後、救助された。
機関長は事故発生当日、佐良浜港防波堤沖で漂流しているところを、捜索中の航空機に救助されたが、午後0時15分、死亡が確認された。
航海中、船長は低気圧が接近していることを知り、伊良部島沖の海域に錨を降ろした。錨を降ろした状態で、船長は見張りを続けていたが、錨が海底をつかんでいないことに気づき、エンジンを掛け錨を揚げ、再度投錨を試みようとしたが、錨を揚げきれず、風と波の影響で白鳥﨑の東約2200㍍の浅瀬に乗り上げた。
第11管区海上保安本部環境防災課はシンガポールの所有会社に対し、座礁船の早期撤去を指導しているが、所有者の行方が分からないことなどから、現在も座礁した場所に放置されている。現在、船内に油は残っていない。
小型タンカー「TJ88」は売船され、2012年12月23日に横浜港を、船長と機関長ほか5人が乗り組み、シンガポール共和国に向けて回船中だった。