宮古上布の継承拠点開館
市伝統工芸品センター落成/発信・誘客施設に期待
国指定の重要無形文化財「宮古上布」の伝統文化継承拠点、市伝統工芸品センターの落成式典が1日、上野野原の同センターで行われた。新たに建築された施設は宮古島の伝統工芸品全般の生産拠点施設、後継者育成施設の機能を持つほか、工芸品を広く島内外に発信する観光客を含む誘客施設としての機能が期待されている。落成式には約120人の来賓を招いて盛大に同館のオープニングと事業の発展を祝った。
これまで平良西里にあった宮古伝統工芸品研究センターの移転新設計画は2004年の同センター運営委員会で持ち上がった。その後、12年度に始まった沖縄振興特別推進交付金(一括交付金)を活用することで申請を行い、12年10月に交付金の決定がなされた。昨年7月に工事着手し完成に至った。
落成式典で式辞を述べた下地敏彦市長は「宮古織物事業協同組合(理事長・長濱政治副市長)と連携を図り、施設の活性化、宮古上布の振興発展に努めていきたい」とあいさつした。
来賓祝辞で市議会の真栄城徳彦議長は「宮古上布は世界の中で宮古島にしかない島のアイデンティティだ。伝統技の伝承もさまざまな要因で厳しい状況にあり、近年、生産反数は減少していると聞く。同センターが伝統工芸品の普及、発展に貢献することを祈念する」と述べた。
開館を前に、下地市長、真栄城議長、長濱副市長、安里肇県宮古事務所長、下地義治宮古島商工会議所会頭、豊見山健児宮古島観光協会会長、宮古上布創始者稲石の子孫、洌鎌ツルさんら7人でテープカットを行った。式典後、訪れた来賓者らは開館したセンターを内覧した後、祝賀会に出席した。
同工芸館建設事業費は2億8677万円。市持ち出し分を除いてそのほとんどを一括交付金で充当した。
施設の敷地面積は2997平方㍍、建築面積1236平方㍍、延べ床面積1084平方㍍で、宮古上布の染め、織りなどの各製造施設のほか、展示室、休憩室、見学コースなどが設けられている。