行雲流水
2014年5月3日(土)8:55
「市の予算」(行雲流水)
「アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひく」は、日米の経済動向を皮肉ったものだ。これは一例だが、さまざまな事例を他の表現に置き換えて紹介すると、分かりやすくなることがある
▼最近そう思ったのは、宮古島市が今年度の予算を家計簿に置き換えて算出したことが本紙に掲載されたからだ。それによると、自ら稼いだ給料(市税)と臨時収入(使用料など)はほんのわずかで、生活に足りない分は親(国)からの仕送り(地方交付税など)に頼っている。ローンを組んだり、預貯金を取り崩したりして何とか家計を維持している状況が説明されていた
▼市の予算書はA4判サイズで500㌻余に及ぶ。数字と財政用語が羅列され、市民が理解するには至難の業。わざと分かりにくくしているのかと勘ぐってしまうほどの難解さだ
▼北海道ニセコ町の「予算説明書」を取り寄せたことがある。町の財政を分かりやすく紹介していることから、同町では「ベストセラー」といわれるほど読まれているという。表題は「もっと知りたいことしの仕事」「お伝えします。ことしのお金の使い方」。予算を分かりやすい言葉に置き換えて解説している。市民のお金を大切に使うという気持ちが伝わってくる
▼市町村合併してもうすぐ9年。合併は、脆弱(ぜいじゃく)な財政基盤の強化と地方分権の推進に対応することなどが目的だった。それが、家計簿に置き換える市の財政は「火の車」ではないか。知らなかった人は多いはず。市民に予算を身近なものとして関心を持たせ、内容をチェックできるという取り組みが必要だ。