希少個体の生息紹介/市総合博物館
伊良部・下地島生き物展/海の自然史研究所が協力
市総合博物館(長濱修館長)主催の特別展示「伊良部島・下地島の生き物展」が、沖縄本島にあるNPO海の自然史研究所(藤田喜久代表)の協力を得て2日、27日までの日程で幕開けした。国内で初めて発見された新種イラブモエビ(仮称)や宮古諸島では初確認のアシナガベンケイガニ(ベンケイガニ科)のほかに伊良部島では初確認の新種ミヤココケリンドウ(リンドウ科)、宮古諸島初確認のカレンコウアミシダ(シダ科)などの写真・標本・パネル計148点を展示。両島周辺海域と陸域が多様な生物に恵まれていることが改めて浮き彫りになった。 同研究所がかいぎん環境貢献基金の援助(2012~13年度助成)を受け、「伊良部島・下地島生物多様性調査プロジェクト2012~1013」を実施した。
両島の自然環境と生物相を詳細に記録するのが目的。プロジェクトには、国内の8研究機関の研究者計10人と宮古在住の研究者3人が参加。初記録種の生物を多数発見した。
今回の企画展は成果報告が含まれており、プロジェクトによって採取された生物のうち、特に珍しい種や稀少な種を取り上げて紹介。海底洞窟の生き物コーナーでは、薄暗い工夫で生息環境をイメージした。
新種イラブモエビは下地島の海底洞窟で発見。体長2~3㌢。世界ではハワイ諸島、ツバル諸島、シナイ半島の計9カ所が生息地として知られる。
アシナガベンケイガニはマングローブ域に生息し甲の幅2㌢ほど。国内では、これまで沖縄本島、西表島、石垣島に分布。今回の調査では伊良部島と宮古本島で見つかった。
一方、ミヤココケリンドウは2000年に宮古本島の海岸から発見され、新種として発表された。花は青紫色で直径1㌢にも満たない。
カレンコウアミシダは葉長100㌢にも成長する。国内では沖永良部島が分布の北限。伊良部島では2カ所で自生を確認した。