行雲流水
2014年5月29日(木)8:55
「不法投棄」(行雲流水)
「不法投棄」(行雲流水)
廃棄物の不法投棄が続いているのだろうか。県の調査によると、宮古島に残存する不法投棄物は県全体の63%を占めているという(5月15日付本紙報道)
▼不法投棄は、単なる廃棄物処理の問題ではないように思える。その背後には、公衆道徳感覚のまひがあるのではないだろうか。宮古島市民は守るべき社会規範を持っていないのでは、との疑念を抱かせかねない
▼公衆道徳は、市民1人1人の日頃の気配りのなかにある。3~4人で道を歩くときは横に広がらないとか、道路や野山をポイ捨てで汚さないとかだ。ささいな気遣いに関する無頓着さが積み重なり、やがては不法投棄につながっていくのではないだろうか
▼国仲昌二氏が本紙で紹介していた「ハインリッヒの法則」が思い出される。重大事故1件の背後には29件の軽い過失があり、その背後には300件の「ヒヤリ」があるという。労働災害、航空機事故、医療ミス、交通事故などをなくすためには、日頃の「ヒヤリ」をなくすことから始める必要があるとの卓見だった
▼不法投棄問題にも、「ハインリッヒの法則」があてはまるのではないだろうか。「ヒヤリ」に該当するのが「公衆道徳の軽視」だ。大人のこのような行動が日常化すれば、見よう見まねで次代を担う青少年にも感染していく。大人自身が「ならぬものはならぬ」との毅然(きぜん)とした自覚を持つ必要がありそうだ
▼宮古島市は、持続可能な社会の構築をめざしている。〝美ぎ島〟をつくり、まもり、引き継いでいくことも、その柱の一つだ。