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行雲流水
2014年6月3日(火)8:55

「教えること、学ぶこと」(行雲流水)

 「教えるとは希望を語ること、学ぶとは誠実を胸に刻むこと」。この言葉は現代フランス最大の詩人と言われるルイ・アラゴンの詩の中に出てくる言葉である

▼アラゴンは、第2次世界大戦下、祖国フランスがナチスによって虐げられていたとき、レジスタンスの詩を書き、人々を励まし、厳しい状況下で、あえて「希望」を語った。パリが解放された日、ノートルダムの大鐘が鳴り、続いてパリ中の鐘が鳴り響いた。市民たちは外に飛び出て、歓声を上げたという。まさしく、明けない夜はない

▼今日、学ぶ生徒や若者たちに「希望」を簡単に語れるような時代状況ではない。しかし、未来は若い人たちのもの。彼らの持てる可能性を最大限に開花させることで、希望を語り、彼らは未来を託される

▼「学ぶとは誠実を胸に刻むこと」。なんと美しい言葉だろう。誠実とは、物事に対して、真面目で真心がこもっていることの意だが、この場合、知的な学習だけでなく、人間性形成の過程においても求められる態度であろう。戦後、わが国の教育が目指した目的が個人の「人格の完成」であることと合致する。そのことによってこそ「民主的で文化的な国家の建設」も「世界の平和と人類の福祉への貢献」も可能になる

▼そのためには、教師の自由で創造的な実践力の向上、不当な教育への介入の排除、経済格差が教育の格差を生んでいることへの対策等、課題は多い

▼その際、アラゴンの言葉が重要な視点を示す。「教えるとは希望を語ること、学ぶとは誠実を胸に刻むこと」。

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