行雲流水
2014年6月10日(火)8:55
「ふるさと」(行雲流水)
長田弘に詩集『人生の特別な一瞬』がある。詩人の鋭い感性は、日常のごくありふれた、なにげない光景にも、特別な一瞬、秘められた真実をみる
▼詩人でなくても、人は皆、「人生の特別な一瞬」を持っている。それは、幼い頃の最も古い記憶であったり、先生にほめられた時であったりする。あるいは、人生の方向を選択し決断した時かもしれない
▼振り返って、「人生で特別な一瞬」が豊かにあるところが故郷である。そして、故郷は、それぞれの広い世界に飛翔した後も、心の根底で生き続けるようである
▼人生はいろいろ。宮古が生んだ一人の知性を紹介しよう。東京共同法律事務所長で、労働法の権威である宮里邦雄弁護士は次のように述べている。今は格差と貧困が広がり、雇用も不安定で、賃金や労働条件の悪い人が増えている。そういう人たちの生活や人権を守りたい。さらに、その人たちを守るために労働法制の整備などの問題に取り組んでいる。また、働く人の間で労働法の基本的な知識や権利意識が非常に弱くなっている。労働者の権利意識の向上にも努めたい
▼ちなみに、氏は東京大学法科大学院で、労働法と法曹倫理を教えている。日本労働弁護団会長として労働者・労働組合を支援している。また、日本国憲法の価値をかけがえのないものとして守る立場で書いた著書もある。「才能は責任だ」と言ったピアニスト・ブーニンの言葉を思い出す
▼実は、彼は熱烈な高校野球ファンで、宮古の高校生の甲子園出場を心待ちにしている。(空)