コーラル社 再建は「自助努力」
市が資金投入を断念
株主総会 累積赤字は1億円に
公的資金の再投入が検討されてきた市の第3セクター、コーラル・ベジタブル社の運営について、社長の下地敏彦市長は25日、「市として具体的に支援することはない」と述べ、資金の再投入を断念する意向を示した。今後の再建は「自助努力だ」とした。今後コーラル社の資金繰りが厳しくなることは必至だが、同社は直販と通販を基軸に販売戦略を構築し、併せて本土企業への営業に力を入れて経営の立て直しを図る。同日開かれた株主総会では、累積の赤字額が1億1300万円に膨らんでいる決算内容が示された。
株主総会後の会見で下地市長は、資金投入を断念した経緯に触れ、「出資金と補助金の両方をやろうということで議員団に説明してきたが、これ以上コーラルに公的資金を投入することはまかりならんということで同意が得られず、6月議会に提案できなかった」などと振り返った。
今後の運営は「自助努力をする」と強調して経営方針を表明。「空港の売店でわが社の製品をしっかりと売り、これを通販につなげていく」と述べ、利益幅が大きい直販や通販に力を注ぐ考えを示した。県外大手メーカーへの営業力も欠かせないとした。
会見前の株主総会では第15期決算と第16期事業計画案が提案され、それぞれ株主の全員が了承した。
決算は会計年度を従来の9~8月から4~3月に変更したため7カ月の累計が示された。売上高は1796万円、単年度赤字は1491万円だった。これに伴い累積の赤字額は1億1300万円、債務超過は4600万円に膨らんだ。
真栄城忠之専務は「15期の売り上げ目標は7カ月決算で4237万円に設定したが、売上高は前年同月比で55%、金額にして1468万円のマイナス」と詳細を説明した。「資金繰りに追われ、十分な営業計画を実行できなかったことが目標未達の原因」とした。
第16期売上計画における島内営業の目標額は1600万円に設定、島内営業は2700万円、直販営業で3700万円を計上した。
三つの営業の中で構成比が46%と最も大きい直販では空港直売店や同社構内のコーラルショップを活用して売り上げ増を図る。
空港直売店の売り上げは順調に推移しており、同社によると今年4月の開所から売り上げは右肩上がりで推移、6月は200万円に迫る勢いだという。
今後の見通しについて真栄城専務は、昨年6月に投入された市の補助金3000万円を活用し、農家や社員への未払い金ほか買掛金の清算につながったことを明るい材料に挙げた。その上で「昨年度内に農家や関係取引先との関係を取り戻せた。今は正常化のための過渡期」と述べ、今後さらなる自助努力で経営の安定を図る考えを示した。