耐震改修促進計画を策定/宮古島市
建物の診断を促進/支援制度の創設も検討
宮古島市はこのほど、初の耐震改修促進計画を策定し1日、市のホームページで公開した。同計画は、地震による建築物の倒壊などから市民の生命及び財産を保護するために、建築物の耐震診断と改修を総合的かつ計画的に促進することが目的。耐震診断の実施はほとんど実績がなく、耐震化は老朽化による建て替えなどにより行われているのが実情だ。市は建物所有者の負担軽減のための支援制度創設についても検討する方針。
1995年の阪神・淡路大震災では、9万棟を超える住宅・建築物が被災し約6400人の死者が出た。その被害者の約9割が住宅などの下敷きなどにより命を失った。
倒壊した建築物は81年に施行された耐震基準を満たさない、いわゆる「既存不適格建築物」に被害が集中した。
策定された同計画では、歴史的、地理的背景から同市にある建物は耐震性に優れていない建築物が見受けられると指摘した。
特に地震時の人命の保護や速やかな救助、復旧を可能とするためには、防災拠点として活動すべき施設や避難救護に必要な施設などについて耐震診断を実施し、耐震改修を促進することが緊急の課題であると明記した。
同計画は市全域を対象とし、耐震診断・改修の促進を図る。
対象とする建築物は、建築基準法などの法令の耐震関係規定に適合しない建築物で①住宅②特定既存耐震不適格建築物(学校、病院、店舗など多数の人が利用する一定規模以上の建築物)③公共建築物-となっている。
08年住宅・土地統計調査によると、市内の総戸数2万1230戸のうち、9570戸が81年以前に建てられた住宅。このうち、耐震性のある住宅は1万5703戸(73・9%)と推測されている。
市は、耐震化率を少なくとも90%に引き上げることを目標としている。
一方、2012年の市の調査では、特定既存耐震不適格建築物の耐震化率は90・1%で県の耐震化率目標の90%は達成している。
市は同促進計画の内容を市民に広く周知し耐震化の推進を図る。
また、市民や建築物の所有者が耐震診断・改修への理解を深め、必要な情報を得るための相談窓口を市建設部建築課(市役所下地庁舎)に設置した。
耐震診断・改修は多額な費用を要する。このため市は、国の補助制度を積極的活用を促す。
さらには、耐震基準を満たさない住宅などの耐震診断及び耐震改修費用の一部を助成する補助制度の創設に努める方針だ。