夢のあるホラ(大構想)を吹いてみませんか/久貝 陽子
私見公論101
平成5年4月1日土曜日、旧平良市民会館にて、世界ホラ吹き大会が催されました。
ホラ貝の音とドラの音の先導で12人のホラ吹きエントリー者が舞台へ登壇しました。皆さん、大まじめに地域活性化につなげて、夢やロマンのあるアイデアで現実か非現実かの構想を発表しました。
その中の一人に私もいました。「池間島近海に広がる八重干瀬に、海底都市建設により世界中から研究者が集い、まるで映画で見たような光景が、そして異次元の世界が生まれ、その都市の女王になりたい」というホラを吹きました。
結果は「消化不良賞」でした。優勝は、沖縄本島から出場の新田弘さん。「『宮古島でオリンピック開催』をサマランチ会長と仮約束したのを契機に、国際直行便を飛ばし、沖縄本島まで海底トンネルを通そう」とホラを吹き、見事賞金(30万円)を手にしました。準優勝は、阪井秀和さん。「宮古島に天水を貯める世界一の水タンクを作り、それに世界中の芸術家の彫刻を入れ、水の都宮古島を世界にアピールするんだ」とホラを吹きました。
この2人のホラには、何か現在につながるようなことが発表されていると思いませんか。この小さな何もないと言われている宮古島を活性化させるには、夢のある島にするには、思いがけない発想を持っている方の発表の場を!ということです。宮古島では、以前は断水が頻繁にありましたが、地下ダムのおかげで断水もなくなり、農家も(私も)スプリンクラーのおかげで、農作業も楽になり作物の反収アップにつながっています。
周辺の離島まで橋がかかり(来年は伊良部大橋開通予定)、多良間島を除くほぼ全島に水が行き届くようになりつつあります。池間島への橋も当時はホラじゃないの?と言われていたそうですが、当時の平良市長真栄城徳松氏が池間住民の切なる願いを真摯(しんし)に受け止め、信念を貫き、日琉両政府に折衝を重ね、橋の実現の礎を築いたと記されています。現代の政治家も、このような豪快なホラを吹いて、夢の実現者の出現があるといいですね。
宮古島は、農業の分野でも開拓する余地はあると思います。健康食品、化粧品、美容関係の売り上げが急上昇ですが、沖縄薬草の本によると、自生しているほとんどの植物があてはまるようです。例えば、長命草はダイエットに良いとのことが、琉球大学の研究で発表されております。また、月桃は化粧品として販売されています。他にアロエ・雲南百薬…、どれもこれも無農薬栽培で、どこにでもできる。それこそ、このような薬草を周年栽培することで、島中の方が美しく健康になっていくことを願いたいです。
私事ながら、7月5日は誕生日で60半ばになります。人生経験を通して、これからも夢のある構想を持ち続けたいと思います。
「人は歳月を重ねたから老いるのではない。理想を失うときに老いるのである。人はその信念に比例して若くあり、疑いに比例して老いる。自信や希望に比例して若くあり、恐れや絶望に比例して老いる。(サミュエル・ウルマン)」
私はこの言葉が大好きで、自分の目の届く所に置いてあります。そして励まされています。先人たちのように、ホラを吹く構想を持つことで、明日どんな楽しいことが、うれしい夢が実現するかもしれません。そのために、いつまでも若々しく笑みを忘れないような環境に、自分自身を置くことを心がけています。
最後になりますが、これから宮古島が活性化し、住み良い島として発展していくことを願ってやみません。
(くがい ようこ・農業)