「数十年に１度」の最強級台風が通過した。気象庁は「特別警報」を発令、極度の緊張のもとで迎えた台風８号だった。被害の全容はまだ明らかではないが、とりわけマンゴー農家の受けた打撃は深刻だろう

▼過去の最強級台風は、１９５９年のサラ（気圧９０８ヘクトパスカル、最大瞬間風速６４ｍ／ｓ）、１９６６年のコラ（９２８ヘクトパスカル、８５ｍ／ｓ）、１９６８年のデラ（９４２ヘクトパスカル、７９ｍ／ｓ）、２００３年の１４号（９１２ヘクトパスカル、７４ｍ／ｓ）などがある

▼特にサラ台風の経験は、宮古島の建築様式に大変革をもたらした。従来のかやぶき・瓦ぶき木造から鉄筋コンクリート造りになり、現在につながる住宅風景を生んだ。台風に強い作物をめざして、サトウキビの品種改良も進んだ。台風を克服するため、先人たちが努力した足跡だ

▼宮古島市には「地域防災計画」（平成25年修正）がある。そのなかには、災害復旧・復興計画の内容や作成手順が定められている。市は、緊急に災害査定作業に取り組んでもらいたい

▼激甚災害指定はともかく、災害住宅融資、生業資金の貸し付け、農・水産業者への融資などに必要な相談窓口の設置、り災証明書の交付、被災者台帳の作成など「地域防災計画」に定められている事項を実行する時だ。地震や津波がもたらす災害だけが対象ではないはずだ

▼住宅や作物の改良に取り組んだ先達にならって、長期的視点で取り組むテーマもあろう。農業用ハウスの研究・試作・普及、台風時の安全対策に配慮した観光メニューの開発、マンゴーなど農産物の冷蔵保存倉庫建設などだ。