移植サンゴ8割が喪失/海中公園周辺
環境整備専門委で報告
2014年度第1回宮古島市海中公園環境整備専門委員会が4日、市役所平良庁舎で開かれた。これまで同公園周辺海域に移植したサンゴ39片のうち、流失や死亡で32片を失ったこと、施設故障などの影響で移植用サンゴ保有数が激減したことから今年度は移植を行わないことなどを事務局が報告。任期満了に伴う委員への委嘱状交付も行われた。
同委員会は、海中公園建設工事に伴う海底掘削工事の影響で周辺サンゴが死滅したことに対し、市民が申請した公害調停で、市が周辺のサンゴ再生に取り組むことなどを調停調書で締結した一環として、2013年度に設置。サンゴ再生へ市に対し助言を行っている。
今回の委員会では、事務局を務める市水産課が、13年度のサンゴ移植の経過報告や、周辺で新たに確認されたサンゴの数、今後の移植計画などを報告した。
13年度のサンゴ移植は、海中公園の前面に7カ所39片を実施。しかし、14年5月9日までに流失で8片、死亡で6片を喪失。同7月8日の台風8号通過後は18片の流失が確認され、残ったのは7片のみとなった。事務局では移植基盤の固定強化などの対策が必要との考えを示した。
新たに確認されたサンゴは海域によりサイズや群体数、海底を覆う被度はばらばらで、全体的には小さなサンゴが多く、平均サイズは5㌢程度だった。被度も2%ほどと低かったものの、委員からは自然増によるサンゴの回復に期待を寄せる意見も挙がった。
今年度の移植については、移植用サンゴを畜養していた市海業センターの取水施設の故障や、高水温が続いた影響で保有数量が激減したため、見合わせざるを得ない状況になったことを事務局が説明。15年度での再開に向け必要な準備を進めていく考えを示した。
サンゴ保全策としてオニヒトデ駆除を今年5~8月に16回行い、61固体を駆除したこと、オニヒトデ駆除の効果を明らかにするため、現在のサンゴ被度調査を行ったことなども報告された。
委員会の冒頭では、任期満了に伴う委嘱状交付が行われ、委員長に土屋誠琉球大学名誉教授が再任された。
委員は次の通り。
【委員長】土屋誠琉球大学名誉教授【副委員長】村吉順栄市農林水産部長【委員】鹿熊信一郎県海洋深層水研究所長▽豊見山健児宮古島海業管理センター代表▽新村一広宮古島マリンリゾート協同組合長(以上再任)▽鈴木豪西海区水産研究所・亜熱帯研究センター研究員▽島尻英樹市観光課長(以上新任)