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行雲流水
2014年9月30日(火)8:55

「花子とアン」(行雲流水)

 ♪、「これから始まるあなたの物語、ずっと長く道は続くよ」。毎朝楽しみに見てきたNHK朝の連続テレビ小説『花子とアン』の放送が終わった

▼この物語は、モンゴメリ著『赤毛のアン』の翻訳者である村岡花子の波瀾万丈の生涯をモデルに、アンのように、困難な状況の中でも明るく、明日を信じて生きた「花子」の生涯が描かれている

▼『赤毛のアン』のなかの孤児アンはマシューとマリラの老兄妹に引き取られて育てられるが、持ち前の好奇心や想像力で楽しい事件を次々に起こしていく。そのかれんな振る舞いの魅力が周囲の人々を引きつけていく。アンの成長と老兄妹の人間的な変容と、3人の愛情が美しい

▼大震災の後でも灯火管制の下でも、花子がこの本の翻訳を根気強く続けたのは、この物語を子どもたちが楽しむ状況を思い描く想像力と、その時がきっと来るという信念があったからである

▼この番組では、息子を戦争で亡くした蓮子の悲しみと怒りの深さを通して戦争の不条理が描かれている。また、戦争時の抑圧は国民の精神をゆがめ、深みに追い込んでいく。それにもかかわらず、紆余曲折はあったが、花子と蓮子の友情は不変であった。主題歌「にじいろ」で絢香は歌う「まぶしい笑顔の奥に、悲しい音がある。寄りそって今があって、こんなにも愛おしい」

▼最終回は『赤毛のアン』の出版祝賀会。祝辞は述べる「日常を言葉の光で輝かす。洗練された平凡が希望につながる」。花子はあいさつで結ぶ「日本中にアンの腹心の友ができますように!」

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