イネヨトウ 全島防除へ
交信かく乱法3月開始/農家、実施団体が一丸
サトウキビを食害するイネヨトウの防除作業が宮古全島で実施されることが決まった。フェロモン剤を使用して成虫の交尾を阻害する交信かく乱法を3月に実施する。事前説明会が12日午後、JAおきなわ宮古地区本部で開かれ、参加農家がフェロモンチューブを使う防除法を確認した。面積7500㌶で実施する防除は国内最大規模。農家、関係団体が一丸となって効果的な防除に取り組む。
イネヨトウはメイチュウ類に分類されており、その幼虫がサトウキビの茎内を食害して芯枯れ等の被害を引き起こす。宮古、八重山を含む県内の広い範囲で被害が確認されている。
今回の防除は、これらの被害を軽減する全県的な取り組みで、3億円以上の予算が投じられる見通しだ。
宮古では、約7500㌶という広大な面積で防除が実施され、3700人以上が作業に当たる。
今後は、年内に防除地域の地図を作製して農家や関係機関への周知を図り、実際の作業に向けて動員要請を行う。来年2月に2回目の説明会を開き、3月中旬には各地で一斉にフェロモンチューブを設置する。
課題はチューブを設置する技術の普及。従来のように農薬を散布する方法とは大きく異なるため、農家や関係団体への技術の普及が急がれている。
チューブは基本的にサトウキビ畑内に設置。竹の支柱を使って地上数十㌢の高さに張り巡らせる。チューブが地面についたり、指定場所以外に設置したりすると効果が薄れるため正しい設置が求められる。
交信かく乱法は、雄の成虫を雌のフェロモンで誘引し、交尾を阻害して次世代の幼虫発生密度を抑える防除法だ。防除効果は実証されており、被害が拡大している宮古地区でも効果的な防除が期待されている。
説明会で担当者は「この防除法はあくまで成虫の交信をかく乱して卵を産ませない技術。防除しても虫のすみかの雑草除去などをしなければまた発生して同じことの繰り返しになる」と指摘し、肥培管理の一層の充実を訴えた。