操縦士養成が市にメリット/下地島空港
導入想定の調査結果発表/利活用案として県に提案へ
宮古島市が調査研究会社に調査を委託していた、下地島空港と周辺用地の有効利活用促進のためのフライトシミュレーター導入や航空教育機関設置を想定した調査結果がこのほどまとまった。それによると、多額なコストは掛かるものの、操縦士育成の需要は高いと分析。下地敏彦市長は20日に会見を開き、国の支援を得ながら操縦士育成空港として利活用することが市にとってメリットが大きいとの考えを示し、県に提案する方針を語った。
同調査は、市から委託を受けたANA総合研究所が8月から10月に掛けて実施したもので、フライトシミュレーター施設や航空教育機関であるフライトアカデミーなどを下地島空港に設置する場合の設備規模や必要経費などを試算している。
シミュレーター導入では、フルフライトシミュレーター2基と簡易版2機、基礎訓練双発機用シミュレーター2機の導入を前提としていて、施設の建設費は概算で10億円、シミュレーター導入費用は38億円、年間運営費は4億2713万円程度と見込んでいる。
フライトアカデミー設置については、操縦士の高齢化などから2010年実績と比較して2030年には現在の2倍以上の操縦士が必要となり、年間400人規模での採用が必要になるとの予測を紹介。施設の建設費は5億6992万円程度、訓練機は計9機で16億円と試算する。年間運営費用の固定費は3億2200万円程度と見込む。
設置可能性の判断基準としては、初期投資だけでなく多額のランニングコストが発生するとした上で、下地島空港に設置するためには既存施設の活用やシミュレーター活用による実機訓練時間の低減などでランニングコストを低下させる必要性を指摘している。
会見で下地市長は「今、操縦士は高齢化していて、若手の育成が必要。三菱による国産ジェットも開発され、すでに300機を受注しているという。それに対応した操縦士養成も始まる。アカデミーを導入できれば、下地島空港は以前よりも利用度の高い空港となる可能性がある」と航空教育機関としての利活用に前向きな考えを表明。「民間だけでは難しいので、国のバックアップが必要。導入できれば宮古にとってメリットの大きい事業。国産ジェットの増産は国策でもあると思うので、国策としてバックアップをすべきと思う」と国の積極的な支援に期待を示した。
調査結果は今後、空港利活用案として市が県に提案する。