早期発見が命つなぐ/児童虐待防止推進講演
気付きの大切さ訴え
宮古島市主催の児童虐待防止推進協議会が29日、市働く女性の家ゆいみなぁで開かれた。県立宮古病院医療部長の宮城雅也さんが講演し、「児童への虐待を防止するためには早期発見することが一番」と強調。子供や親の様子を注意深く観察し、「なんとなくおかしいと気付き、疑うことから始まる」と話し、虐待の事実を早く発見することが子供の命をつなぐと訴えた。
宮古島市でも児童虐待に関する相談件数が増加していることを踏まえて講演会を企画。「ためらわず 知らせてつなぐ 命の輪」をテーマに開催した。
宮城さんは、子供への虐待として▽身体的虐待▽ネグレクト▽性的虐待▽心理的虐待-を挙げた。その上で身体的虐待を受けた子供の写真を示した。参加者は重傷を負った子供たちの姿に目をそらし、虐待の怖さを再確認していた。
あまり知られていない虐待として、胎児虐待と社会的虐待の紹介もあった。宮城さんは「妊婦のアルコール中毒は赤ちゃんに影響が出る。たばこは赤ちゃんが小さくなると科学的に証明されている」とし、このような妊婦の行為は胎児虐待に当たると指摘した。
虐待は「すべて密室で行われる行為」と強調。これを防ぐためには子供を孤独にせず、密室をつくらない周囲の目が必要とした。
虐待の早期発見に向けて養育者の態度と言動を注視するよう訴え。子供の入院を拒否したり、衝動的な行動が多かったりする養育者の場合は、虐待がないかどうかをしっかりと見極めるよう呼び掛けた。
宮城さんは「子育てはみんなでやっていくことが虐待の防止につながる」などと話し、子供を地域全体で守り育てていく社会環境の重要性を訴えた。