厳かに神事執り行う/稲石祭
宮古上布関係者集い
宮古上布の創始者である稲石刀自の功績を顕彰する神事「稲石祭」(宮古織物事業協同組合主催)が11月30日、旧宮古神社境内で執り行われた。稲石祭には協同組合の組合員、下地敏彦市長、市、県の関係者らが集い、稲石刀自の業績をたたえるとともに、今後の宮古上布のさらなる発展を祈った。
祭りは宮古神社の奥間寛次神主が神事を執り行った。同協同組合の理事長を務める長濱政治副市長は「東は越後、南は宮古島と言われるほど、稲石刀自の偉業はあまりにも大きい。われわれは、この世界に誇れる文化遺産を、後世に伝えていく大事な役割を担っている」とあいさつした。
来賓祝辞を述べた下地市長は「今年も稲石を礼讃する祭りが執り行われた。宮古上布は、新しい工芸センターもでき、後継者育成も順調に進められている。世界に向けて宮古上布をさらに広めていくことに市も協力を惜しまない」と述べ、組合員らを激励した。このほか、市議会の佐久本洋介副議長、県宮古事務所の池間勉総務課長らが来賓祝辞を述べた。
神事では玉串奉納などが行われ、稲石刀自の子孫に当たる洲鎌ツルさん(86)=下地=に合わせて全員で顕彰と発展の祈りを捧げた。
宮古上布はその製造工程が国の重要無形文化財に指定されている織物。400年以上前、稲石の夫・真栄が琉球の船を遭難から救い、下地の頭に任じられた。稲石は夫の栄進に感激して布を織り、琉球王府に献上した。これが後に宮古上布と呼ばれるようになったという言い伝えがある。