行雲流水
2015年2月10日(火)8:55
「立春」(行雲流水)
去る2月4日は立春であった。この立春から立夏までのことを「春」と呼ぶ。従ってこの日が春の第一日目である。時候的には、「大寒」から「立春」までは一年のうちで最も寒い季節であり、立春を過ぎると少しずつ寒さが緩み始め、春の気配が忍びよってくる
▼春の語源は「発」(はる)とか「張る」で、万物に生気がみなぎるありさま、特に植物の芽がふくらんでくる様子を表したものと言われる。英語の春はスプリングだが、これには「飛び立つ」、「泉」、「バネ」(弾性)、「生じる」などの意味がある
▼当地(沖縄)ではすでに季節の使者、ヒカン桜が咲いている。桜前線は普通南から北へ移動するが、沖縄のヒカン桜前線は北から南へ移動する。これは、桜が花の芽をつくるために寒さ体験を必要とするからで、「春化作用」と呼ばれている
▼地球の太陽からの距離や質量が大気や水を保持し、生命を維持するのに適当であるということだけでなく、地球の公転面と自転軸が垂直でなく、傾いているために生ずる、春夏秋冬のそれぞれの季節を愛でることができることは幸せなことで、詩が詠まれ、歌がうたわれる
▼『早春賦』はうたう「春は名のみの風の寒さや、谷の鶯歌は思えど、時にあらずと声も立てず、時にあらずと声も立てず」。やがて、「どこかで春がうまれてる」、「どこかで芽のでる音がする」となる
▼春は旅立ちの季節でもある。高校3年生たちはまもなく卒業して、それぞれの道に進む。厳しい時代であるが、「春化作用」を経て、きれいな花を咲かすだろう。