与党安定多数崩れる/市議会
知事選影響、特別委設置で/今議会では14対11の構図に
昨年末の市議会12月定例会一般質問での仲間賴信氏の質問が、従来までの「与党安定多数」を一変させた。このときの一般質問は、県知事選で乱れた与党の足並みを表面化させただけでなく、現職市議の議員資格を審議する二つの特別委員会が設置されるまでに発展。この問題を巡り議会の構成図は与党14人、それに対立する議員人の構図が浮き彫りになった。両特別委では、議員自らが同僚の「議員としての資格」と「発言内容」について審議してきたが、その中身は市議会全体が問われるような内容となった。これまでの経緯と3月定例会の終盤戦を探った。
■発端
今回の問題の発端となった仲間氏の一般質問は、西里芳明氏が役員を務めていた建設会社が市の公共工事を受注していると指摘。その質問の際に発した「私腹を肥やしている」などの発言も問題となり、西里氏の議員資格、仲間氏の発言を巡る特別委がそれぞれ設置された。
ことの発端は、仲間氏の一般質問だが、その前に行われた昨年11月の県知事選も大きな布石となっている。
知事選で市議会の与党市議団は、3期目を目指していた仲井真弘多知事支持の方針となったが、仲間氏と同じく与党会派だった粟国恒広氏は地元出身の元防災・郵政民営化担当相の下地幹郎氏を支持した。
昨年の9月定例会で議席の配置換えが行われ、仲間氏と粟国氏が野党寄りの席に移されたことも問題が大きくなった要因の一つとなった。
■阻止
与党の足並みが乱れた中で始まった12月定例会の一般質問で、仲間氏が質問した内容と発言は議会を大きく揺るがした。
仲間氏の一般質問翌日の最終本会議でも混乱は続いた。本会議前には与党の議員があわただしく動き、議会開会が1時間以上も遅れた。
このときの動きについて、一部の野党から「当時、与党議員の中には西里氏の議員資格決定要求書を提出しようとしていた仲間氏を説得して取り下げさせようと激しく動いていた」との声も聞かれた。特別委設置を阻止しようとの動きがあったと見られる。
■判断
結局、「議員資格」と「議員発言」を審査する二つの特別委員会は設置されたが、両方とも与党が委員長を務め、委員も与党が多数を占めたことで審査は与党主導で展開された。
西里氏の議員資格特別委では、判断するための資料要求について与党とそれに対立する議員で意見が衝突して時間を費やした。
最終的には「審議が尽くされていない」とする21世紀新風会や野党らの主張を退けて与党が強行採決に持ち込み、西里氏の「議員資格は有する」との判断が示された。11日の本会議でも同様の判断となった。
しかし、この特別委の判断には多くの疑問が残った。野党らの主張は西里氏について「議員資格は有しない」ではない。あくまでも「この問題で市民に説明しうるだけの議論を尽くしたい。そのためには資料も、参考人招致も具体的な数値も含めて議論すべき」だったが、その訴えが通らないまま審査は終了となった。
■審査
11日の本会議で行われた西里氏の議員資格についての委員長報告では、「審査内容」の記述がわずか3行。その中身も「西里氏から提出された資料の内容は、西里氏が当該建設会社の取締役を示すものだった」としている。さらに、判断基準は示されるも、その基準を下回ったとする根拠となる数字も示されなかった。
「多数決で決める」というのは民主主義の原則の一つである。それを尊重する一方で、少数派の基本的な権利を擁護することも求められている。
特別委設置を巡る問題で一気に緊張感を帯びた今議会は18日から一般質問がスタートする。与党に対立する議員からは、西里氏の問題に関連した質問が通告されており、当局との間で同問題が再燃しそうだ。